極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
好美が夕食を振る舞いたいということで、昴たちはご馳走になってから帰ることになった。
羽衣子は好美と一緒にキッチンに立ち、料理の手伝いをしながら他愛のない会話に花を咲かせる一方で、昴は幹人と茶の間で向かい合い、幼い頃の羽衣子の話を聞きながら穏やかな時間を過ごしていた。
「羽衣子ちゃん、本当に結婚式は挙げないの?」
野菜を切りながら好美がふと思い出したように尋ねる。
「はい。私も昴さんもそういう畏まったことは苦手なので……写真だけは撮ろうって話しているんです」
「まあ、写真だけでも撮るならいいわねぇ。やっぱりドレスを着るの? それとも和装かしら?」
「まだ決めていないんですけど……どちらも捨て難いですね」
ドレスにも和装にもそれぞれ違った魅力があり、どちらか一方に決めるとなるとなかなか悩ましいところだった。
すると好美は楽しそうに笑った。
「ふふっ。それならいっそのこと両方着ちゃえばいいんじゃない? 羽衣子ちゃんも京極さんも、どっちも似合いそうだもの」
「両方、ですか?」
「そうよ。せっかくの記念なんだもの、好きなだけ着飾ったらいいじゃない……そういえば、お子さんもいるのよね?」
「はい、そうなんです。希海くんっていうんですけど、すごく可愛い男の子なんですよ。私がママになることもすごく喜んでくれているんです」
希海のことを話す羽衣子の表情は自然と柔らかなものになり、その様子を見た好美も目を細めて微笑んだ。
「そう、良かったわねぇ」
二人は手を動かしながら楽しげに話し続けていた。
一方その頃、茶の間では昴と幹人が向かい合って座っていた。
暫くは幼い頃の羽衣子との思い出話が中心だったのだが、ふと思い出したように幹人は話題を兄の想汰のことへ切り替えた。
「京極さんは羽衣子の兄……想汰については聞いているのかな?」
その問いに昴の表情がわずかに変わる。
「…………ええ、まあ」
「そうか……」
幹人は小さく頷くとどこか遠くを見つめるような目をした。
「あの子はね、就職を機に家を出てから変わってしまったんだ。それまでは頼りになって、私のことも気遣ってくれる、本当にいい子だったんだがね……」
懐かしむような口調にはかつての甥に対する愛情が滲んでいた。
羽衣子は好美と一緒にキッチンに立ち、料理の手伝いをしながら他愛のない会話に花を咲かせる一方で、昴は幹人と茶の間で向かい合い、幼い頃の羽衣子の話を聞きながら穏やかな時間を過ごしていた。
「羽衣子ちゃん、本当に結婚式は挙げないの?」
野菜を切りながら好美がふと思い出したように尋ねる。
「はい。私も昴さんもそういう畏まったことは苦手なので……写真だけは撮ろうって話しているんです」
「まあ、写真だけでも撮るならいいわねぇ。やっぱりドレスを着るの? それとも和装かしら?」
「まだ決めていないんですけど……どちらも捨て難いですね」
ドレスにも和装にもそれぞれ違った魅力があり、どちらか一方に決めるとなるとなかなか悩ましいところだった。
すると好美は楽しそうに笑った。
「ふふっ。それならいっそのこと両方着ちゃえばいいんじゃない? 羽衣子ちゃんも京極さんも、どっちも似合いそうだもの」
「両方、ですか?」
「そうよ。せっかくの記念なんだもの、好きなだけ着飾ったらいいじゃない……そういえば、お子さんもいるのよね?」
「はい、そうなんです。希海くんっていうんですけど、すごく可愛い男の子なんですよ。私がママになることもすごく喜んでくれているんです」
希海のことを話す羽衣子の表情は自然と柔らかなものになり、その様子を見た好美も目を細めて微笑んだ。
「そう、良かったわねぇ」
二人は手を動かしながら楽しげに話し続けていた。
一方その頃、茶の間では昴と幹人が向かい合って座っていた。
暫くは幼い頃の羽衣子との思い出話が中心だったのだが、ふと思い出したように幹人は話題を兄の想汰のことへ切り替えた。
「京極さんは羽衣子の兄……想汰については聞いているのかな?」
その問いに昴の表情がわずかに変わる。
「…………ええ、まあ」
「そうか……」
幹人は小さく頷くとどこか遠くを見つめるような目をした。
「あの子はね、就職を機に家を出てから変わってしまったんだ。それまでは頼りになって、私のことも気遣ってくれる、本当にいい子だったんだがね……」
懐かしむような口調にはかつての甥に対する愛情が滲んでいた。


