僕の秘密と、彼女の嘘
なんでそんな顔できるんだ。
息がかかりそうな距離で、にやっと口角を上げるその笑顔は、どう考えても反則だ。
顔が熱くなって、思わず視線を逸らして話題を変える。

「もったいないなぁ。あの三人、七瀬のことかわいいって言ってたのに」

「えー! 嬉しい! 三人ともタイプは違うけど、かっこいいよね。」

「…僕より、あの中の誰かと付き合った方がよくない?」

半分本気、半分投げやりで言ったその言葉に。

「うーん……」

七瀬は顎に手を当てて、少しだけ考える素振りをしてから、

「でも、私は響が一番好みだよ?」

「!?」

心臓が、思いきり跳ねた。

「な、なんでそんな……っ!?」

完全に動揺する僕を前に、七瀬はふざける様子もなく、じっと目を合わせてくる。

「ホントだよ? 服も髪も私好みにしてるからってのもあるけどね」

「……」

もう何も言えなかった。
反則的に可愛すぎる。
僕が本当の男だったら、たぶん一秒ももたなかった。

七瀬はそんな僕の反応を見て、満足そうに微笑った。

「だから今日から私、響の彼女ね。よろしく」

――こうして。

性別も立場もよくわからないまま、
僕らの、ちょっとおかしな男女交際(?)は始まった。
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