僕の秘密と、彼女の嘘
触れてしまう距離
六月になった。
季節が一段階進んだのと同時に、学校生活もようやく軌道に乗り始めた。
授業は楽しいと思えるようになったし、男のふりをして過ごす日常も、最初のころほど苦痛じゃなくなってきた。
……慣れって、怖い。
七瀬との“交際”も続いている。
といっても、毎日メッセージを送り合って、ときどきいつもの公園で会って、一緒に買い物をする程度。
健全。付き合っているといってもその中身は女同士のただの友達なのだから当然だ。
今日は土曜日。
天気もよかったので、ふたりで出かけて、カフェのテラス席で一休みしていた。
ふわり、ときどき風が吹き抜ける。
向かいに座る七瀬の栗色の髪が、さらさらと揺れた。
その髪の隙間で、キラキラと光るものが目に入る。
――ピアスだ。
正直に言うと、それは、本当に無意識だった。
「今日のピアス、かわいいね。初めて見た」
そう言いながら、自然に手が伸びて、七瀬の耳元の髪をそっとかき上げる。
次の瞬間。
「!?」
七瀬が、びくんっ、とわかりやすく跳ねた。
あまりの反応に、僕は手を伸ばしたままフリーズした。
完全に時が止まった。
七瀬は驚いた表情のまま、まっすぐ僕を見ている。
……そして、ほんのり顔が赤い。
季節が一段階進んだのと同時に、学校生活もようやく軌道に乗り始めた。
授業は楽しいと思えるようになったし、男のふりをして過ごす日常も、最初のころほど苦痛じゃなくなってきた。
……慣れって、怖い。
七瀬との“交際”も続いている。
といっても、毎日メッセージを送り合って、ときどきいつもの公園で会って、一緒に買い物をする程度。
健全。付き合っているといってもその中身は女同士のただの友達なのだから当然だ。
今日は土曜日。
天気もよかったので、ふたりで出かけて、カフェのテラス席で一休みしていた。
ふわり、ときどき風が吹き抜ける。
向かいに座る七瀬の栗色の髪が、さらさらと揺れた。
その髪の隙間で、キラキラと光るものが目に入る。
――ピアスだ。
正直に言うと、それは、本当に無意識だった。
「今日のピアス、かわいいね。初めて見た」
そう言いながら、自然に手が伸びて、七瀬の耳元の髪をそっとかき上げる。
次の瞬間。
「!?」
七瀬が、びくんっ、とわかりやすく跳ねた。
あまりの反応に、僕は手を伸ばしたままフリーズした。
完全に時が止まった。
七瀬は驚いた表情のまま、まっすぐ僕を見ている。
……そして、ほんのり顔が赤い。