僕の秘密と、彼女の嘘
きょとんとした奏に、七瀬を紹介する。

「友達の七瀬。七瀬は本当のこと知ってる人だから、安心して」

「北原七瀬でーす。“お兄ちゃん”の“彼女”ってことになってまーす」

――余計なこと言うな!!

「七瀬! 小学生に変なこと吹き込むな!」

だけど、女子高生に憧れる年頃の妹は、そんな注意など華麗にスルーして目を輝かせた。

「じゃあ、七瀬ちゃんがお兄ちゃんのこと、かっこよくしてくれたの?」

「……ん?」

「お兄ちゃん、急に髪型と服変えたでしょ! 絶対、女の子の影響だと思ってた!」

キラキラした純度100%の憧れの視線を浴びて、七瀬が小刻みに震えだす。

「か、かわいい……! 何これ……尊い……!」

……いつもの七瀬じゃない。
完全に理性が蒸発している。

「七瀬ちゃん、私の髪もアレンジしてくれる?」

奏が必殺・末っ子スマイルを発動する。

「ツインテール気に入ってるんだけど、ちょっと飽きちゃって」

「まかせて!」

即答だった。

「私が、もっとかわいくしてあげる!」

自分も末っ子のくせに、小学生に完璧に転がされ、七瀬は化粧ポーチを取り出してキメ顔になっていた。

「ツインテールはかわいいけど、体育の時間、帽子で潰れない?」

「そうなの! 自分で直せないから困ってるんだ」

「じゃあお団子にしよっか。動いても崩れにくいよ。ちょっとだけアイロン使うね」
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