訳あり王子の守護聖女
真剣に私を見つめるその瞳に嘘はつけず、私は逡巡した後、言った。
「……嘘です。本当は、突き落とされました」
包み隠さず真実を伝えると、ルカ様は苦い薬でも飲んだような顔をした。
「皇太子妃、引いては将来皇后となる女がそんな悪女でいいのか?」
「もちろん良くはないでしょうが……私がエメルナに戻り、事実を訴えたところでもみ消されるだけでしょう。下手をすれば私は嘘つき女と非難され、最悪、処刑されてしまいます。重傷を負われていた皇太子様自身に意識はありませんでしたから、私が皇太子様のお怪我を治したことはローザ様以外、誰も知りません。同じように、夜の山に行ったのも私とローザ様二人だけ。事件の目撃者は誰もいないのです。きっと今頃、ローザ様は『足を滑らせて崖に落ちてしまった間抜けな巫女見習い』を泣きながら探し回っているはずです」
目に浮かぶようだ。
ローザは夜の山に行ったのも私に誘われたからということにし、大々的に捜索隊を組んで私を探しているだろう。
私を案じて泣くその姿を見て、周りの人間は「下民に心を砕くとは、なんと慈悲深いお方なのだ」と感激し、自ら進んでローザの味方になる。
「……嘘です。本当は、突き落とされました」
包み隠さず真実を伝えると、ルカ様は苦い薬でも飲んだような顔をした。
「皇太子妃、引いては将来皇后となる女がそんな悪女でいいのか?」
「もちろん良くはないでしょうが……私がエメルナに戻り、事実を訴えたところでもみ消されるだけでしょう。下手をすれば私は嘘つき女と非難され、最悪、処刑されてしまいます。重傷を負われていた皇太子様自身に意識はありませんでしたから、私が皇太子様のお怪我を治したことはローザ様以外、誰も知りません。同じように、夜の山に行ったのも私とローザ様二人だけ。事件の目撃者は誰もいないのです。きっと今頃、ローザ様は『足を滑らせて崖に落ちてしまった間抜けな巫女見習い』を泣きながら探し回っているはずです」
目に浮かぶようだ。
ローザは夜の山に行ったのも私に誘われたからということにし、大々的に捜索隊を組んで私を探しているだろう。
私を案じて泣くその姿を見て、周りの人間は「下民に心を砕くとは、なんと慈悲深いお方なのだ」と感激し、自ら進んでローザの味方になる。