訳あり王子の守護聖女
「二人も侍女をつけていただき、まるでお姫様にでもなったような気分を味わわせていただきました。王宮の食事はいままで食べたことがないくらい美味しかったです。本当に、夢のような経験をさせていただきました。全てルカ様のおかげです。感謝しています」
 身体の前方に銀髪を垂らして頭を下げる。
 今日は頭を下げてばかりの一日だけれど、感謝を示すには何度下げても足りない。

「でも、夢はいつか終わるものです。私はエメルナの民。戻りたくなくとも、私にはあそこしか居場所はありませんから――」

「誰がそう決めた?」

「え?」
 私はきょとんとしてルカ様を見つめた。

「俺は三日前、兄上やモニカと一緒に王宮を抜け出し、服を血で汚したお前を連れ帰った」

 その話はモニカさんに聞いている。

 三日前、指輪を通して私の危機を知ったルカ様は優れた魔導士であるノクス王子と癒しの力を持つモニカさんを連れて『瞬きの扉』を使い、現場に駆けつけてくれた。

 ノクス王子とモニカさんが到着したとき、私は既に気絶してしまっていたからルカ様以外にも助けに来てくれた人がいたなんて知らなかった。
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