訳あり王子の守護聖女
「……ありがとうございます。頼りにしています」

 微笑み返して、私は再びルカ様と一緒に階段を上った。

 焦らず、ゆっくり。一歩一歩。慎重に。

 無事階段を上り切って廊下を歩き、とうとう私は両開きの重厚な扉の前に辿り着いた。
 扉の両脇には金属製の甲冑に身を包み、槍を持った兵士が立っている。

 この扉の向こうにアンベリスの王がいると思うと、握った手のひらにじっとりと汗が滲む。

「緊張しているか?」
 ルカ様がこちらを見た。

「……はい」
「俺もだ。陛下にお会いするときはいつも緊張する」

 意外だ。ルカ様も緊張するのか。

 彼にとっては父親だけど、相手が国王ともなればやはり普通の親子のようにはいかないのだろう。

 無責任な励ましではなく、正直な胸の内を打ち明けられたことで、不思議と足の震えが止まった。

「行けるか?」
「――はい」
 大丈夫。必要な話し合いは昨日のうちに済ませた。

 だから大丈夫。ルカ様がいるならきっとうまくいく――いいえ、たとえどんな結果になったって後悔しない。

 怯えも迷いも捨て去り、背中をしゃんと伸ばす。

「良い表情《かお》だ。行くぞ」
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