暴れる恋情 ~萌ちゃんママは御曹司に激愛されまくりです~
私がいきなりかがんだせいだと瞬間的に分った。
「ごめんなさい。大丈夫...」
大丈夫ですか、と言おうとして顔が青ざめる。男性のトレイの上でコーヒーの入った紙コップが倒れ、すぐ側の文庫本がコーヒーで濡れている。
なんてこと!
「すみません。その本弁償します!」
顔をあげてその男性を見る。
「いや、気にしなくていいですよ」
その声はまさに今日聞いた声。コーヒーで濡れた本の表紙も見覚えがある。
真奈美たちが、そして私も王子様と呼ぶ、あの人だった。
なんて失態を.....!しかもあの人にだなんて!
本は濡れてしまうとページ同士がくっついて読めなくなってしまう。
「この本の在庫ならまだ店にあります。送りますから住所を教えてください」
咄嗟に叫んでいた。言い終わってから、はたとこれでは逆ナンのようではないか、と気づく。こんなに美しい人だから言い寄られるのはしょっちゅうだろう。
そうではなくて、本を何とかしたい、ということを伝えないと。
私は慌ててバッグの中の名刺入れを探し出し、その一枚を差し出した。
「私、吉永書店で文庫売り場を担当している者です。その本、なんとかしますから、あの」
そう言う私の目の前で彼はじっと名刺を見つめている。
「吉永書店の山本深雪さん。……文庫の担当は君だったのか」
うん?
なんか予想外の返答が返ってきた。
「さっき声をかけてくれたときみたいにレジに入っていることが多かったからレジ担当かと思っていたけど違うんだな」
「はあ、レジは当番制なので......」
まさかとは思うけどレジを打っていた私を覚えていた?いやいやまさか、そんなこと。
私は髪の毛をひとつ結びにして、化粧も薄い地味な顔立ちだ。華やかな目立つタイプとは正反対。卒業アルバムでも影が薄くて探すのに時間がかかる、そんなタイプだ。
「文庫担当だったら今日みたいに本の内容に詳しいのも当然か。そうすると、あの文庫のPOPを書いているのも、もしかして君?」
「は、はい......」
そう言うと彼は顔をくしゃっとさせて笑った。
「よかった。一度あのPOPを書いてる人に会ってみたかったんだ」
「POP......読んでくださってるんですか」
確かにおすすめの本には熱いメッセージを書いてきた。本を選ぶ手がかりのひとつになってほしいとはいつも思っている。
「もちろん。あれですすめられて買った文庫は多いよ。しかも俺が買おうかな、と思っていた文庫にPOPがついてるパターンも多いしね」
「そうだったんですか......!」
本の選び方から王子と好みが似てるとは思っていたけれど、POPが功を奏していたなんて。思わず頬が緩んでしまう。
と、いけない、いけない。私は彼の本を汚した張本人なのだ。
「あのその文庫、弁償しますので、ぜひ住所を……」
すると、王子はちょっと考える顔つきになった。
「......山本さんは帰りはいつもこの時間?」
「いえ今日は遅番だったからで。早番の時は十九時の時もあります」
「じゃあ今度の十九時あがりの時に食事に行こう。弁償よりもそっちの方がいい」
え?と目が点になった。
私、誘われてる?王子様に?
「えっと、その......」
「ああ、こちらから名乗らなくて失礼。俺はこういう者です」
すでにコーヒーカップの倒れたトレイは脇のテーブルに置かれていて、彼は自分のスーツの内ポケットを探り、私に名刺をくれた。
『 シマリス出版 代表取締役 藤堂彰良 』
「シマリスって、あの児童書の?」
思わず口から言葉が飛び出してしまった。
シマリス出版といえば老舗の児童書の出版社だ。看板作品はいくつもアニメ化されている。絵本の出版点数も膨大で、私も子供の頃、シマリス出版の絵本を何冊も読んでいた。
そんな大手出版社の代表取締。私はごくんと息をのんだ。
「はい。吉永書店さんには大きなコーナーを作ってもらっていて感謝してる。児童書担当の方にもよろしく伝えてください。ただ俺が食事したいのは文庫担当の君なんだ」
きっぱり言われてしまった。喉がカラカラしてくる。
「恐縮ですが、私なんかでお相手が務まるかどうか......」
「いや。君じゃなきゃだめだ。君と本の話がしたいって、POPを見るたびに思っていたんだ。今日、本が濡れたのはラッキーだった。君と知り合えるチャンスになったからね」
そ、そんな風に言われると胸がドキドキしてくる。
たしかに私も彼の本の選び方を見て、好みが似ているのには気づいていた。話せたらいいな、と思ったことは何度もある。
「あ、それとも男と二人きりで会うのはまずいかな。山本さんの彼氏が怒る?」
「いえっ、そんな人いません」
彼氏いない歴イコール年令なので、胸を張って言ってしまった。
「じゃあ問題ないね。今度の十九時あがりの日はいつ?」
ここからお互いのスケジュール帳を突き合わせることになった。彼……藤堂社長のスケジュールはぎっしり詰まっていて、なんとか十日後の木曜日の夜、食事を共にすることになってしまった。
急展開すぎて頭がついていかないが、心の中の小さな自分が「がんばって。本の話、してみたいって思ってたじゃない」と励ましている。
「じゃあ、山本さん、楽しみにしてるから」
藤堂社長はトレイを持ち直してすたすた歩いて行ってしまった。
取り残された私は、ぼうっと去っていく背中を見ていた。
私は失敗しただけなのに、とんでもないことを引き寄せてしまった。
わ、私大丈夫なの?答えてくれる人はいないとわかっていても自問自答せずにはいられなかった。
週末。双子の姉沙雪が帰ってきているので、電車で一時間の実家へ行く。最寄り駅で母の好きな洋菓子店のプリンを買った。玄関で迎えてくれた母に手渡すと
「あら、ありがと。悪いわね、あんた達の誕生日なのに」
と、うれしそうにする。そう、今日は私と姉の誕生日なのだ。姉は福岡でモデルの仕事をしている。福岡の情報番組に出るタレントのような仕事も最近はちらほらしているらしい。
両親は、姉が東京の実家を出て福岡に行くのを「誕生日と正月には絶対帰ってくる」という条件で許した。
仕事の都合もあるだろうから日にちがズレることもあるが、今のところ、姉はその言いつけを守って年に二回福岡から帰ってくる。
「沙雪は?まだ帰ってないの?」
「帰ってるわよ。明日の夕方の飛行機で戻るって。忙しいみたいね」
父が銀行員で母が専業主婦の我が家を出て沙雪が福岡で働く、と言った時は随分もめたものだった。しかし東京のモデルクラブでくすぶっていた沙雪を引き抜いてくれた福岡の芸能事務所は結構な大手で住まいも用意する、というのでしぶしぶ了承して今に至る。
私はバッグを持って二階への階段を昇った。右が私の部屋。左が沙雪の部屋。沙雪も私の日当たりのいい左の角部屋を使いたくて、言い合いの喧嘩になりそうだったけれど、私は沙雪に譲った。沙雪のやりたいようにさせれば丸く収まる。これまで一緒に過ごしてきて、学んだことだった。
沙雪は私と違って、自分で道を切り拓くタイプだ。だから自分の「ああしたい。こうしたい」は、何が何でも貫き通す。簡単に言うとワガママだが、沙雪には一本筋の通ったところがあって、結果的に沙雪にとってベストな選択となることが多い。
私は望みを抑えることを子供の頃から学んだけれど、そのせいでひどく後悔したこともなかった。これでいいや、と思ってしまえば、最初からこれでいいと思っていたように錯覚できる。考え方次第ではお得な性格に育ったともいえる。
自分の部屋のドアを開けようとするのと、沙雪の部屋のドアが開くのが同時だった。
「おっ」
沙雪が短く声を発した。ロングヘアは綺麗な栗色で毛先にいい感じでウェーブが入っている。真っ赤なシンプルのシャツに黒のミニスカート。首元には石の光るネックレス。派手な恰好なのに、沙雪だと不思議と下品に見えない。小さな顔には整った眉毛と睫毛の長い瞳、薄くて形のよい唇が収まっている。肌は抜けるように白く、さすが美容のプロは違うな、と思わせた。地味な私とは全然違う。双子だというのに。
私が何を思ったか一瞬で察したように沙雪が言う。
「相変わらず安定のダサさだねえ」
「いいでしょ。地味な仕事してるんだから、地味な姿で結構」
バッグを置いて、上着を脱いでハンガーにかける。
「そんなんじゃ男、寄ってこないっしょ。お姉ちゃん心配だわあ」
全然心配なんかしてない癖にこんな事を言う。
「沙雪こそ、ストーカーに追いかけられないようにね。そっちこそ逆に地味にすべきなんじゃないの?」
去年の夏、変な男が撮影中に絡んできて大変だったらしい。帰りは事務所の車でなんとか巻けたが移動する時はジャージの上下で凌ぐことになったそうだ。いつも華やかな服装でいるのが好きな沙雪なので結構ダメージがあったみたいだ。
「ふん。その件ならもう片付いたから大丈夫。なんたって私、事務所のドル箱ですから。守ってもらえるもんね」
そう言ってすたすたと階段を降りていった。
ふう、とため息ひとつ、ついて荷物の整理をする。たまに帰る実家の自分の部屋はやはり落ち着く。
ちょっと考えてからクローゼットを開ける。
うーん。気に入っている服は自分のアパートにあるとはいえ、残っている服が地味だ。私は黒と紺色とグレーしか選ばないクセがついている。
来週の木曜日には藤堂社長と会うわけで。何か着ていくものがなかったかなあ、と期待していたのだが、見事になかった......。
思い切って新しい服を買う?でもどんな?いつもここで思考がストップしてしまう。
「ごめんなさい。大丈夫...」
大丈夫ですか、と言おうとして顔が青ざめる。男性のトレイの上でコーヒーの入った紙コップが倒れ、すぐ側の文庫本がコーヒーで濡れている。
なんてこと!
「すみません。その本弁償します!」
顔をあげてその男性を見る。
「いや、気にしなくていいですよ」
その声はまさに今日聞いた声。コーヒーで濡れた本の表紙も見覚えがある。
真奈美たちが、そして私も王子様と呼ぶ、あの人だった。
なんて失態を.....!しかもあの人にだなんて!
本は濡れてしまうとページ同士がくっついて読めなくなってしまう。
「この本の在庫ならまだ店にあります。送りますから住所を教えてください」
咄嗟に叫んでいた。言い終わってから、はたとこれでは逆ナンのようではないか、と気づく。こんなに美しい人だから言い寄られるのはしょっちゅうだろう。
そうではなくて、本を何とかしたい、ということを伝えないと。
私は慌ててバッグの中の名刺入れを探し出し、その一枚を差し出した。
「私、吉永書店で文庫売り場を担当している者です。その本、なんとかしますから、あの」
そう言う私の目の前で彼はじっと名刺を見つめている。
「吉永書店の山本深雪さん。……文庫の担当は君だったのか」
うん?
なんか予想外の返答が返ってきた。
「さっき声をかけてくれたときみたいにレジに入っていることが多かったからレジ担当かと思っていたけど違うんだな」
「はあ、レジは当番制なので......」
まさかとは思うけどレジを打っていた私を覚えていた?いやいやまさか、そんなこと。
私は髪の毛をひとつ結びにして、化粧も薄い地味な顔立ちだ。華やかな目立つタイプとは正反対。卒業アルバムでも影が薄くて探すのに時間がかかる、そんなタイプだ。
「文庫担当だったら今日みたいに本の内容に詳しいのも当然か。そうすると、あの文庫のPOPを書いているのも、もしかして君?」
「は、はい......」
そう言うと彼は顔をくしゃっとさせて笑った。
「よかった。一度あのPOPを書いてる人に会ってみたかったんだ」
「POP......読んでくださってるんですか」
確かにおすすめの本には熱いメッセージを書いてきた。本を選ぶ手がかりのひとつになってほしいとはいつも思っている。
「もちろん。あれですすめられて買った文庫は多いよ。しかも俺が買おうかな、と思っていた文庫にPOPがついてるパターンも多いしね」
「そうだったんですか......!」
本の選び方から王子と好みが似てるとは思っていたけれど、POPが功を奏していたなんて。思わず頬が緩んでしまう。
と、いけない、いけない。私は彼の本を汚した張本人なのだ。
「あのその文庫、弁償しますので、ぜひ住所を……」
すると、王子はちょっと考える顔つきになった。
「......山本さんは帰りはいつもこの時間?」
「いえ今日は遅番だったからで。早番の時は十九時の時もあります」
「じゃあ今度の十九時あがりの時に食事に行こう。弁償よりもそっちの方がいい」
え?と目が点になった。
私、誘われてる?王子様に?
「えっと、その......」
「ああ、こちらから名乗らなくて失礼。俺はこういう者です」
すでにコーヒーカップの倒れたトレイは脇のテーブルに置かれていて、彼は自分のスーツの内ポケットを探り、私に名刺をくれた。
『 シマリス出版 代表取締役 藤堂彰良 』
「シマリスって、あの児童書の?」
思わず口から言葉が飛び出してしまった。
シマリス出版といえば老舗の児童書の出版社だ。看板作品はいくつもアニメ化されている。絵本の出版点数も膨大で、私も子供の頃、シマリス出版の絵本を何冊も読んでいた。
そんな大手出版社の代表取締。私はごくんと息をのんだ。
「はい。吉永書店さんには大きなコーナーを作ってもらっていて感謝してる。児童書担当の方にもよろしく伝えてください。ただ俺が食事したいのは文庫担当の君なんだ」
きっぱり言われてしまった。喉がカラカラしてくる。
「恐縮ですが、私なんかでお相手が務まるかどうか......」
「いや。君じゃなきゃだめだ。君と本の話がしたいって、POPを見るたびに思っていたんだ。今日、本が濡れたのはラッキーだった。君と知り合えるチャンスになったからね」
そ、そんな風に言われると胸がドキドキしてくる。
たしかに私も彼の本の選び方を見て、好みが似ているのには気づいていた。話せたらいいな、と思ったことは何度もある。
「あ、それとも男と二人きりで会うのはまずいかな。山本さんの彼氏が怒る?」
「いえっ、そんな人いません」
彼氏いない歴イコール年令なので、胸を張って言ってしまった。
「じゃあ問題ないね。今度の十九時あがりの日はいつ?」
ここからお互いのスケジュール帳を突き合わせることになった。彼……藤堂社長のスケジュールはぎっしり詰まっていて、なんとか十日後の木曜日の夜、食事を共にすることになってしまった。
急展開すぎて頭がついていかないが、心の中の小さな自分が「がんばって。本の話、してみたいって思ってたじゃない」と励ましている。
「じゃあ、山本さん、楽しみにしてるから」
藤堂社長はトレイを持ち直してすたすた歩いて行ってしまった。
取り残された私は、ぼうっと去っていく背中を見ていた。
私は失敗しただけなのに、とんでもないことを引き寄せてしまった。
わ、私大丈夫なの?答えてくれる人はいないとわかっていても自問自答せずにはいられなかった。
週末。双子の姉沙雪が帰ってきているので、電車で一時間の実家へ行く。最寄り駅で母の好きな洋菓子店のプリンを買った。玄関で迎えてくれた母に手渡すと
「あら、ありがと。悪いわね、あんた達の誕生日なのに」
と、うれしそうにする。そう、今日は私と姉の誕生日なのだ。姉は福岡でモデルの仕事をしている。福岡の情報番組に出るタレントのような仕事も最近はちらほらしているらしい。
両親は、姉が東京の実家を出て福岡に行くのを「誕生日と正月には絶対帰ってくる」という条件で許した。
仕事の都合もあるだろうから日にちがズレることもあるが、今のところ、姉はその言いつけを守って年に二回福岡から帰ってくる。
「沙雪は?まだ帰ってないの?」
「帰ってるわよ。明日の夕方の飛行機で戻るって。忙しいみたいね」
父が銀行員で母が専業主婦の我が家を出て沙雪が福岡で働く、と言った時は随分もめたものだった。しかし東京のモデルクラブでくすぶっていた沙雪を引き抜いてくれた福岡の芸能事務所は結構な大手で住まいも用意する、というのでしぶしぶ了承して今に至る。
私はバッグを持って二階への階段を昇った。右が私の部屋。左が沙雪の部屋。沙雪も私の日当たりのいい左の角部屋を使いたくて、言い合いの喧嘩になりそうだったけれど、私は沙雪に譲った。沙雪のやりたいようにさせれば丸く収まる。これまで一緒に過ごしてきて、学んだことだった。
沙雪は私と違って、自分で道を切り拓くタイプだ。だから自分の「ああしたい。こうしたい」は、何が何でも貫き通す。簡単に言うとワガママだが、沙雪には一本筋の通ったところがあって、結果的に沙雪にとってベストな選択となることが多い。
私は望みを抑えることを子供の頃から学んだけれど、そのせいでひどく後悔したこともなかった。これでいいや、と思ってしまえば、最初からこれでいいと思っていたように錯覚できる。考え方次第ではお得な性格に育ったともいえる。
自分の部屋のドアを開けようとするのと、沙雪の部屋のドアが開くのが同時だった。
「おっ」
沙雪が短く声を発した。ロングヘアは綺麗な栗色で毛先にいい感じでウェーブが入っている。真っ赤なシンプルのシャツに黒のミニスカート。首元には石の光るネックレス。派手な恰好なのに、沙雪だと不思議と下品に見えない。小さな顔には整った眉毛と睫毛の長い瞳、薄くて形のよい唇が収まっている。肌は抜けるように白く、さすが美容のプロは違うな、と思わせた。地味な私とは全然違う。双子だというのに。
私が何を思ったか一瞬で察したように沙雪が言う。
「相変わらず安定のダサさだねえ」
「いいでしょ。地味な仕事してるんだから、地味な姿で結構」
バッグを置いて、上着を脱いでハンガーにかける。
「そんなんじゃ男、寄ってこないっしょ。お姉ちゃん心配だわあ」
全然心配なんかしてない癖にこんな事を言う。
「沙雪こそ、ストーカーに追いかけられないようにね。そっちこそ逆に地味にすべきなんじゃないの?」
去年の夏、変な男が撮影中に絡んできて大変だったらしい。帰りは事務所の車でなんとか巻けたが移動する時はジャージの上下で凌ぐことになったそうだ。いつも華やかな服装でいるのが好きな沙雪なので結構ダメージがあったみたいだ。
「ふん。その件ならもう片付いたから大丈夫。なんたって私、事務所のドル箱ですから。守ってもらえるもんね」
そう言ってすたすたと階段を降りていった。
ふう、とため息ひとつ、ついて荷物の整理をする。たまに帰る実家の自分の部屋はやはり落ち着く。
ちょっと考えてからクローゼットを開ける。
うーん。気に入っている服は自分のアパートにあるとはいえ、残っている服が地味だ。私は黒と紺色とグレーしか選ばないクセがついている。
来週の木曜日には藤堂社長と会うわけで。何か着ていくものがなかったかなあ、と期待していたのだが、見事になかった......。
思い切って新しい服を買う?でもどんな?いつもここで思考がストップしてしまう。