妹を監禁するはずの悪役から、なぜか溺愛執着されています
夜、ベッドに横になり、天井を見上げながら考える。
王妃は焦っているんだ、エディアルドが出現したことにより、第一王子の王位が怪しくなったのだから。
見目麗しさとカリスマ性に加えて、五大属性の精霊の加護を持つなんて、まさに王位に相応しいと誰もが思うだろう。
肝心のエディアルド本人がどう思っているかが、一番謎なのだが。ここまできたら、本人の思惑とは別に担ぎだされそうな気もする。
やはり、私が介入しすぎたせいで、原作に影響してしまったのだろうか。
でも、あのまま小説の通りに進んでいたら、私はすでにこの世にいないのかもしれない。シアナだって今頃――。
やめよう、深く考えても答えは出ない。シアナの病も完治に向かっているし、これで良かったのだ。
エディアルドの執着がシアナじゃなく、私に向いていて、その件で王妃に目をつけられたとしても、上手く立ち回ればいいの?
でも、どうやって? エディアルドと距離を取ればいいのだろか。
エディアルドが私に向ける笑顔を思い出すが、振り切ることはできない。
だが、優先するべくは、この家族を守りたい。王位とか派閥争いなどに、巻き込まれることなく平穏に暮らしたいと願っているだけなのに。
原作を変えてしまった罪を被っているのだろうか。そんな風に思いながら、眠りについた。
翌週、王宮で大規模なガーデンパーティが開催された。
これは貴族たちが親睦を深める名目で出会いの場でもあるので、皆が張り切って参加していた。
王宮の庭園が会場となり、周囲は芳醇な花の香りに包まれている。
私とシアナが馬車から降りたところで、近寄ってくる人物がいた。
「あら、やっぱりきたのね」
まるで待ち構えているかのようなアリッサだったが、どうしたのだろう。腕を組み、真っすぐにこっちを向いて歩いてくるアリッサにシアナは脅えたのか、一歩下がった。私はシアナをかばうように前に立つ。
「何か用?」
「言っておくけど――」
アリッサは長い髪をかき上げた。
「今日はエディアルド様の側をうろちょろしないで。目障りなのよ」
「いつ私がうろちょろしたというの?」
向こうがこっちに寄ってくるのだ、誤解しないで欲しい。だが、アリッサから見たら、私の方が彼にまとわりついているように見えるのか。逆だわ、逆。
「ちょっと精霊の加護を持っているからといって、エディアルド様に恩を売って。情けないとか思わないの」
「失礼な言い方はやめていただけるかしら? 私は別に情けないことなんて、した覚えはないわ」
真っ向からけんか腰でくるアリッサに私も負けてはいられない。日頃のイライラも含め、今日はお返しだ。
「とにかく、今日はエディアルド様の側は譲らないから。あなたはいつもみたいに大人しくしているといいわ」
アリッサは吐き捨てると踵を返した。
「お姉さま……」
来て早々、どうしてこんなに面白くないことを言われなければ、いけないの。アリッサは焦っているのだろう、エディアルドが今までの男と違い、思い通りにならないから。
なんだか、ここ最近は頭を悩ませることばかりで、本当に頭痛がしてきた。
険しい顔で額を抑える私を心配そうにのぞきこむシアナに大丈夫だと告げ、ガーデンパーティへ向かう。
***
多種多様の花が咲き誇る庭園は、にぎわいを見せていた。
立食形式となっており、皆がめいめいに楽しんでいる。用意された上座の席には王妃と第一王子の姿もあった。王妃を視界に入れると先日のことが思い出され、なおさら頭が痛くなった。
こめかみ部分を抑えていると、シアナがドレスの裾を引っ張った。
「今日はもう帰ろうか……?」
「いいえ、まだ来たばかりじゃない。大丈夫よ」
正直体調は良くないが、せっかく来たばかりなのに、帰っては失礼だ。楽しみにしていたシアナにだって申し訳ないので、もう少し滞在したら、先に帰宅しよう。
「あなたも好きなところに行くといいわ」
シアナは友人の姿を見つけ、駆け出した。
周囲をぐるっと見回すと、人だかりが出来ている。その中心にいるのは、確認せずともわかる。
周囲より頭一つ高い分、抜き出ているのはエディアルドだ。凛とした姿勢で表情には冷たささえ感じるのに、なぜか人を惹きつけてやまない。
周囲が一生懸命彼に話しかけているようだが、エディアルドの顔はさして興味を示したようには見えなかった。そして側にはアリッサの姿があった。宣言したとおり、エディアルドの隣にいき、チャンスを狙っているのだろう。
そして王妃の冷たい視線はエディアルドに注がれている。
エディアルドが不意に顔を上げると、私と目が合う。ふんわりと微笑みを見せた。
「リゼット」
遠くから私の名を呼び、人ごみをかき分けて、私へと向かってきた。
王妃は焦っているんだ、エディアルドが出現したことにより、第一王子の王位が怪しくなったのだから。
見目麗しさとカリスマ性に加えて、五大属性の精霊の加護を持つなんて、まさに王位に相応しいと誰もが思うだろう。
肝心のエディアルド本人がどう思っているかが、一番謎なのだが。ここまできたら、本人の思惑とは別に担ぎだされそうな気もする。
やはり、私が介入しすぎたせいで、原作に影響してしまったのだろうか。
でも、あのまま小説の通りに進んでいたら、私はすでにこの世にいないのかもしれない。シアナだって今頃――。
やめよう、深く考えても答えは出ない。シアナの病も完治に向かっているし、これで良かったのだ。
エディアルドの執着がシアナじゃなく、私に向いていて、その件で王妃に目をつけられたとしても、上手く立ち回ればいいの?
でも、どうやって? エディアルドと距離を取ればいいのだろか。
エディアルドが私に向ける笑顔を思い出すが、振り切ることはできない。
だが、優先するべくは、この家族を守りたい。王位とか派閥争いなどに、巻き込まれることなく平穏に暮らしたいと願っているだけなのに。
原作を変えてしまった罪を被っているのだろうか。そんな風に思いながら、眠りについた。
翌週、王宮で大規模なガーデンパーティが開催された。
これは貴族たちが親睦を深める名目で出会いの場でもあるので、皆が張り切って参加していた。
王宮の庭園が会場となり、周囲は芳醇な花の香りに包まれている。
私とシアナが馬車から降りたところで、近寄ってくる人物がいた。
「あら、やっぱりきたのね」
まるで待ち構えているかのようなアリッサだったが、どうしたのだろう。腕を組み、真っすぐにこっちを向いて歩いてくるアリッサにシアナは脅えたのか、一歩下がった。私はシアナをかばうように前に立つ。
「何か用?」
「言っておくけど――」
アリッサは長い髪をかき上げた。
「今日はエディアルド様の側をうろちょろしないで。目障りなのよ」
「いつ私がうろちょろしたというの?」
向こうがこっちに寄ってくるのだ、誤解しないで欲しい。だが、アリッサから見たら、私の方が彼にまとわりついているように見えるのか。逆だわ、逆。
「ちょっと精霊の加護を持っているからといって、エディアルド様に恩を売って。情けないとか思わないの」
「失礼な言い方はやめていただけるかしら? 私は別に情けないことなんて、した覚えはないわ」
真っ向からけんか腰でくるアリッサに私も負けてはいられない。日頃のイライラも含め、今日はお返しだ。
「とにかく、今日はエディアルド様の側は譲らないから。あなたはいつもみたいに大人しくしているといいわ」
アリッサは吐き捨てると踵を返した。
「お姉さま……」
来て早々、どうしてこんなに面白くないことを言われなければ、いけないの。アリッサは焦っているのだろう、エディアルドが今までの男と違い、思い通りにならないから。
なんだか、ここ最近は頭を悩ませることばかりで、本当に頭痛がしてきた。
険しい顔で額を抑える私を心配そうにのぞきこむシアナに大丈夫だと告げ、ガーデンパーティへ向かう。
***
多種多様の花が咲き誇る庭園は、にぎわいを見せていた。
立食形式となっており、皆がめいめいに楽しんでいる。用意された上座の席には王妃と第一王子の姿もあった。王妃を視界に入れると先日のことが思い出され、なおさら頭が痛くなった。
こめかみ部分を抑えていると、シアナがドレスの裾を引っ張った。
「今日はもう帰ろうか……?」
「いいえ、まだ来たばかりじゃない。大丈夫よ」
正直体調は良くないが、せっかく来たばかりなのに、帰っては失礼だ。楽しみにしていたシアナにだって申し訳ないので、もう少し滞在したら、先に帰宅しよう。
「あなたも好きなところに行くといいわ」
シアナは友人の姿を見つけ、駆け出した。
周囲をぐるっと見回すと、人だかりが出来ている。その中心にいるのは、確認せずともわかる。
周囲より頭一つ高い分、抜き出ているのはエディアルドだ。凛とした姿勢で表情には冷たささえ感じるのに、なぜか人を惹きつけてやまない。
周囲が一生懸命彼に話しかけているようだが、エディアルドの顔はさして興味を示したようには見えなかった。そして側にはアリッサの姿があった。宣言したとおり、エディアルドの隣にいき、チャンスを狙っているのだろう。
そして王妃の冷たい視線はエディアルドに注がれている。
エディアルドが不意に顔を上げると、私と目が合う。ふんわりと微笑みを見せた。
「リゼット」
遠くから私の名を呼び、人ごみをかき分けて、私へと向かってきた。