隣の席の悪魔【旧版】
◇
ショッピングモール。
春休みだからか、
人が多い。
私は雑貨屋へ入った瞬間、
ぱっと目を輝かせた。
「うわ見て空くん!
これ可愛い!!」
カチューシャ。
細い茶色のデザイン。
私は鏡の前で、
それを頭につける。
短くなった髪の毛先が、
またくるんと揺れた。
「どう?」
「……なんか違う」
「えー!?」
私は別のを取る。
「これも可愛い!」
今度は、
幅が太めの黒色。
もう一回つける。
「これは?」
空くん、
数秒じっと見る。
そして。
ぽつり。
「……そっち」
え。
私は思わず鏡を見る。
「今ちゃんと選んだ!?」
「うるさい」
でも。
空くん、
ちょっと目を逸らしてる。
耳。
赤い。
私は思わず笑った。
「買おーっと」
◇
文房具屋。
桜の飾りが施された、
春らしい店内。
私は試し書きコーナーで、
シャーペンを握ったまま唸る。
「うーん……」
「長い」
空くんが、
隣で小さくため息をついた。
「だっていっぱいある!」
「どれでも一緒」
「違うの!」
私は思わず頬を膨らませた。
その時。
空くんが、
あるシャーペンを指差した。
「これ」
え。
私は手に取り。
さらっ。
ノートへ線を引く。
「……書きやすっ!!」
「だろ」
空くん、
ちょっとだけ得意そう。
珍しい。
私は思わず笑った。
「空くん、
これ使ってるの?」
「ん」
私はそのまま、
レジの方向へ足を向けた。
「じゃあこれ買う!」
空くんは、
別に気にした様子もなく歩き出す。
でも。
私は新しいシャーペンを握りながら、
ちょっとだけ嬉しかった。
◇
会計を済ませた私は、
店の外で待つ空くんへ駆け寄った。
「見て〜」
「なに」
私は空くんへ、
シャーペンを掲げる。
「おそろい」
ぴたり。
空くんの動きが止まる。
私のシャーペン。
たぶん、
頭の中で
自分のシャーペンを浮かべてる。
そして。
「……あ」
本気で今気づいたって顔。
私は思わず吹き出した。
「今気づいたの!?」
空くんは、
少しだけ視線を逸らす。
耳。
赤い。
「……別に、
狙ってない」
「へへ」
私は笑いながら、
新しいシャーペンを握りしめた。
その時。
空くんがまた、
やれやれって顔をする。
でも。
そのまま、
小さく笑った。
ショッピングモール。
春休みだからか、
人が多い。
私は雑貨屋へ入った瞬間、
ぱっと目を輝かせた。
「うわ見て空くん!
これ可愛い!!」
カチューシャ。
細い茶色のデザイン。
私は鏡の前で、
それを頭につける。
短くなった髪の毛先が、
またくるんと揺れた。
「どう?」
「……なんか違う」
「えー!?」
私は別のを取る。
「これも可愛い!」
今度は、
幅が太めの黒色。
もう一回つける。
「これは?」
空くん、
数秒じっと見る。
そして。
ぽつり。
「……そっち」
え。
私は思わず鏡を見る。
「今ちゃんと選んだ!?」
「うるさい」
でも。
空くん、
ちょっと目を逸らしてる。
耳。
赤い。
私は思わず笑った。
「買おーっと」
◇
文房具屋。
桜の飾りが施された、
春らしい店内。
私は試し書きコーナーで、
シャーペンを握ったまま唸る。
「うーん……」
「長い」
空くんが、
隣で小さくため息をついた。
「だっていっぱいある!」
「どれでも一緒」
「違うの!」
私は思わず頬を膨らませた。
その時。
空くんが、
あるシャーペンを指差した。
「これ」
え。
私は手に取り。
さらっ。
ノートへ線を引く。
「……書きやすっ!!」
「だろ」
空くん、
ちょっとだけ得意そう。
珍しい。
私は思わず笑った。
「空くん、
これ使ってるの?」
「ん」
私はそのまま、
レジの方向へ足を向けた。
「じゃあこれ買う!」
空くんは、
別に気にした様子もなく歩き出す。
でも。
私は新しいシャーペンを握りながら、
ちょっとだけ嬉しかった。
◇
会計を済ませた私は、
店の外で待つ空くんへ駆け寄った。
「見て〜」
「なに」
私は空くんへ、
シャーペンを掲げる。
「おそろい」
ぴたり。
空くんの動きが止まる。
私のシャーペン。
たぶん、
頭の中で
自分のシャーペンを浮かべてる。
そして。
「……あ」
本気で今気づいたって顔。
私は思わず吹き出した。
「今気づいたの!?」
空くんは、
少しだけ視線を逸らす。
耳。
赤い。
「……別に、
狙ってない」
「へへ」
私は笑いながら、
新しいシャーペンを握りしめた。
その時。
空くんがまた、
やれやれって顔をする。
でも。
そのまま、
小さく笑った。