隣の席の悪魔【旧版】
◇
新しい教室。
新しい席。
隣には、
空くん。
私は鞄を置きながら、
小さく笑った。
「なんか戻った感じするね」
空くんは、
机に頬杖をつく。
「……何が」
「入学の頃!」
すると。
空くんが、
少しだけこっちを見る。
そして。
「……またうるさくなる」
私は思わず笑った。
「空くん、
ちょっと嬉しそう!」
「気のせい」
私は前を見る。
窓から入る風に、
髪が揺れてくすぐったい。
その時。
空くんが、
ふとこっちを見た。
「……もうつけてる」
「え?」
私は瞬きをする。
空くんの視線。
カチューシャ。
あ。
私は思わず笑った。
「似合うでしょ」
空くんは、
少しだけ視線を逸らした。
そして。
「……まぁ」
数秒遅れて。
「……星野って感じ」
心臓が、
どくんと大きく跳ねる。
誤魔化すみたいに、
私は片手を挙げてみせた。
「これも!」
あの、
UFOキャッチャーで取ってくれた時計。
空くんは何も言わない。
でも。
耳だけ、
ちょっと赤い。
私はなんだか照れくさくなって、
慌てて前を向く。
窓から吹き込む春の風。
三年生。
最後の一年。
「……走るか」
空くんが言う。
私は思わず笑った。
「走る!」
春の光が、
新しい教室を静かに照らしていた。
また。
隣から、
一年が始まる。
新しい教室。
新しい席。
隣には、
空くん。
私は鞄を置きながら、
小さく笑った。
「なんか戻った感じするね」
空くんは、
机に頬杖をつく。
「……何が」
「入学の頃!」
すると。
空くんが、
少しだけこっちを見る。
そして。
「……またうるさくなる」
私は思わず笑った。
「空くん、
ちょっと嬉しそう!」
「気のせい」
私は前を見る。
窓から入る風に、
髪が揺れてくすぐったい。
その時。
空くんが、
ふとこっちを見た。
「……もうつけてる」
「え?」
私は瞬きをする。
空くんの視線。
カチューシャ。
あ。
私は思わず笑った。
「似合うでしょ」
空くんは、
少しだけ視線を逸らした。
そして。
「……まぁ」
数秒遅れて。
「……星野って感じ」
心臓が、
どくんと大きく跳ねる。
誤魔化すみたいに、
私は片手を挙げてみせた。
「これも!」
あの、
UFOキャッチャーで取ってくれた時計。
空くんは何も言わない。
でも。
耳だけ、
ちょっと赤い。
私はなんだか照れくさくなって、
慌てて前を向く。
窓から吹き込む春の風。
三年生。
最後の一年。
「……走るか」
空くんが言う。
私は思わず笑った。
「走る!」
春の光が、
新しい教室を静かに照らしていた。
また。
隣から、
一年が始まる。