隣の席の悪魔【旧版】


閉館時間を知らせる音楽が、
そっと図書室に響く。

私は参考書を閉じながら、
小さく伸びをした。

「疲れたぁ……」

「集中力なさすぎ」

「空くん基準で言わないで!」

私はむっとしながら鞄を持つ。

その時。

ぽつり。

「……でも」

「え?」

空くんは参考書を閉じながら、
少しだけ目を細めた。

「前より解けるようになってる」

私は思わず瞬きをする。

空くんは、
普通の顔。

でも。

その声がやけに優しくて。

私は思わず笑った。

「……ありがと」

西日が、
机の端を静かに照らしていた。
< 121 / 150 >

この作品をシェア

pagetop