隣の席の悪魔【旧版】
秒針
二月下旬。
少しだけ、
空気が春っぽくなっていた。
でも。
私は全然落ち着かなかった。
「むり……」
机に突っ伏す。
教科書。
参考書。
問題集。
見るだけで眠い。
「あと少しだろ」
隣。
空くん。
推薦で合格が決まってからも、
放課後になると普通に図書室へ来ていた。
「空くんは終わったから余裕じゃん……」
「余裕ではない」
「絶対余裕」
私はシャーペンを転がしながら、
むすっと頬を膨らませる。
窓の外は、
夕焼け。
静かな図書室。
私はシャーペンを止めて、
ぼんやり左手の腕時計を見た。
去年の春休み、
空くんが取ってくれた腕時計。
「……空くん」
「なに」
「向こう行ったらさ」
言いかけて、
止まる。
無理。
聞けない。
“私のこと、
忘れない?”
そんなの。
聞けるわけない。
私は慌てて問題集を開く。
「……なんでもない」
空くんは、
何も言わなかった。
ただ。
黙ったまま、
こっちを見ていた。
少しだけ、
空気が春っぽくなっていた。
でも。
私は全然落ち着かなかった。
「むり……」
机に突っ伏す。
教科書。
参考書。
問題集。
見るだけで眠い。
「あと少しだろ」
隣。
空くん。
推薦で合格が決まってからも、
放課後になると普通に図書室へ来ていた。
「空くんは終わったから余裕じゃん……」
「余裕ではない」
「絶対余裕」
私はシャーペンを転がしながら、
むすっと頬を膨らませる。
窓の外は、
夕焼け。
静かな図書室。
私はシャーペンを止めて、
ぼんやり左手の腕時計を見た。
去年の春休み、
空くんが取ってくれた腕時計。
「……空くん」
「なに」
「向こう行ったらさ」
言いかけて、
止まる。
無理。
聞けない。
“私のこと、
忘れない?”
そんなの。
聞けるわけない。
私は慌てて問題集を開く。
「……なんでもない」
空くんは、
何も言わなかった。
ただ。
黙ったまま、
こっちを見ていた。