隣の席の悪魔【旧版】
◇
翌日。
中学校最初の、
ちゃんとした登校日。
昨日の入学式は、
式典のあとそのまま下校だったから、
友達を作る暇なんてまるでなかった。
だから今日が。
今日こそが、
本番なのだ。
友達ができるかどうか。
学校生活を楽しめるか。
私は初日にかけている!
私の席は――
窓側、
後ろから二番目。
悪くない。
むしろ良い位置。
問題は。
隣。
黒板に貼り出された席次表には、
朝比奈 空
と書かれている。
空って、
あの――
ガタン。
隣の席が引かれる音。
「……え」
思わず顔を上げる。
そこにいたのは。
昨日見つけた、
“同志”だった。
え。
うそ。
隣!?
私は思わず、
心の中で拍手した。
すると。
空くんが、
ゆっくりこっちを見る。
切れ長の目。
静かな顔。
なんか怖い。
でも。
大丈夫。
ちゃんと視界に入る高さだし。
「……」
いやいや。
「……」
無言て。
気まずい。
ここは私が行くしかない。
だって。
同志だもん。
私はぐいっと身を乗り出した。
「ねぇ!!」
「……なに」
低っ。
声、
思ったより低っ。
「空くんだよね!?」
ぴくっと、
空くんの眉が動いた。
「……なんで知ってんの」
「有名だもん」
昨日、
友達が言ってた。
静かで、
全然喋らなくて、
頭が良いやつ。
まさか、
私の同志だったとは
思わなかったけど。
「初めましてって言いたいとこだけど!
それがさぁ、
初めましてじゃないんだよっ」
「……は?」
少しだけ嫌そうな顔。
ふふん。
聞きたいでしょう?
聞きたいよねぇ?
私は得意げに、
胸を張った。
「私ね!
昨日、空くん見つけたの!」
「……は?」
「小さい人いたーーー!!
って思って!」
…………。
空くんの目が、
すぅっと細くなる。
教室の空気が、
ほんの少しだけ冷えた気がした。
そして。
ひと言。
「……お前、
喧嘩売ってんの?」
――これが、
私の隣の席の悪魔との、
本当の出会いだった。
翌日。
中学校最初の、
ちゃんとした登校日。
昨日の入学式は、
式典のあとそのまま下校だったから、
友達を作る暇なんてまるでなかった。
だから今日が。
今日こそが、
本番なのだ。
友達ができるかどうか。
学校生活を楽しめるか。
私は初日にかけている!
私の席は――
窓側、
後ろから二番目。
悪くない。
むしろ良い位置。
問題は。
隣。
黒板に貼り出された席次表には、
朝比奈 空
と書かれている。
空って、
あの――
ガタン。
隣の席が引かれる音。
「……え」
思わず顔を上げる。
そこにいたのは。
昨日見つけた、
“同志”だった。
え。
うそ。
隣!?
私は思わず、
心の中で拍手した。
すると。
空くんが、
ゆっくりこっちを見る。
切れ長の目。
静かな顔。
なんか怖い。
でも。
大丈夫。
ちゃんと視界に入る高さだし。
「……」
いやいや。
「……」
無言て。
気まずい。
ここは私が行くしかない。
だって。
同志だもん。
私はぐいっと身を乗り出した。
「ねぇ!!」
「……なに」
低っ。
声、
思ったより低っ。
「空くんだよね!?」
ぴくっと、
空くんの眉が動いた。
「……なんで知ってんの」
「有名だもん」
昨日、
友達が言ってた。
静かで、
全然喋らなくて、
頭が良いやつ。
まさか、
私の同志だったとは
思わなかったけど。
「初めましてって言いたいとこだけど!
それがさぁ、
初めましてじゃないんだよっ」
「……は?」
少しだけ嫌そうな顔。
ふふん。
聞きたいでしょう?
聞きたいよねぇ?
私は得意げに、
胸を張った。
「私ね!
昨日、空くん見つけたの!」
「……は?」
「小さい人いたーーー!!
って思って!」
…………。
空くんの目が、
すぅっと細くなる。
教室の空気が、
ほんの少しだけ冷えた気がした。
そして。
ひと言。
「……お前、
喧嘩売ってんの?」
――これが、
私の隣の席の悪魔との、
本当の出会いだった。