隣の席の悪魔【旧版】
◇
帰り道。
風が強い。
「っ……」
私は思わず立ち止まった。
気づいた空くんも、
足を止める。
「星野」
「ん?」
「……こっち歩けば」
「え?」
空くんが、
道路側へ出る。
そして。
私を、
内側へ。
「風強いから」
え。
なにそれ。
なんなの。
優しい。
……ずるい。
白い息が、
歩くたび夜に溶ける。
静かな帰り道。
聞こえるのは。
風の音と。
私たちの靴の音だけ。
その時。
空くんが、
ぽつりと口を開いた。
「……風邪引いて休むなよ」
え。
私は、
隣を見る。
「隣の席。
……いないと、静かだから」
空くんは、
前を向いたまま。
……静かなの、
好きなくせに。
私は、
うまく返事ができなかった。
空くんの耳が、
少しだけ赤かったから。
私の心臓の音が、
うるさかったから。
ただ。
いつもより距離の近い、
隣の悪魔と。
並んで歩くだけで、
いっぱいいっぱいだった。
帰り道。
風が強い。
「っ……」
私は思わず立ち止まった。
気づいた空くんも、
足を止める。
「星野」
「ん?」
「……こっち歩けば」
「え?」
空くんが、
道路側へ出る。
そして。
私を、
内側へ。
「風強いから」
え。
なにそれ。
なんなの。
優しい。
……ずるい。
白い息が、
歩くたび夜に溶ける。
静かな帰り道。
聞こえるのは。
風の音と。
私たちの靴の音だけ。
その時。
空くんが、
ぽつりと口を開いた。
「……風邪引いて休むなよ」
え。
私は、
隣を見る。
「隣の席。
……いないと、静かだから」
空くんは、
前を向いたまま。
……静かなの、
好きなくせに。
私は、
うまく返事ができなかった。
空くんの耳が、
少しだけ赤かったから。
私の心臓の音が、
うるさかったから。
ただ。
いつもより距離の近い、
隣の悪魔と。
並んで歩くだけで、
いっぱいいっぱいだった。