隣の席の悪魔【旧版】


教室。

新しい席。

新しいクラス。

窓の外。

春の青空。

去年とは違う景色。

私は頬杖をつきながら、
小さくため息をついた。

「……静か」

去年まで。

隣を見れば、
空くんがいた。

でも。

今はいない。

その時。

ガラッ。

教室の後ろのドアが開く。

「星野」

低い声。

反射で顔を上げる。

「空くん!」

思わず笑う。

空くんは、
去年と変わらない顔で、
私の席まで来た。

「……定規」

「え?」

「借りてたやつ。
助かった」

あ。

この間貸してたやつ。

「そうだった!
ありがと!」

受け取る時、
少しだけ指が触れる。

その瞬間。

心臓が、
小さく跳ねた。

……なんなの、
最近。

空くんは何も言わないまま、
私の机を見る。

そして。

ぽつり。

「……騒がしい」

「え?」

「ここ」

私は瞬きをする。

数秒後。

あ。

「空くん、
……静かだった?」

ぴたり。

空くんが止まる。

そして。

「……別に」

でも。

少しだけ、
耳が赤い。

私は思わず笑った。

「静かなの、
好きなくせに」

「うるさい」

被せるように呟いて、
空くんは視線を逸らす。

でも。

少しだけ。

口角が上がってた。
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