隣の席の悪魔【旧版】


「……星野」

頭上から聞こえる低い声に、
私はゆっくり目を開けた。

ぼやけた視界。

オレンジ色。

図書室の影が、
さっきより長く伸びていた。

そして。

目の前には、
空くん。

「……っ!?」

近っ。

私は勢いよく起き上がる。

すると。

ぱさっ。

肩から、
何かが落ちた。

……ジャージ。

私は瞬きをする。

……これ。

もしかして。

「空くん?」

空くんは、
少しだけ視線を逸らした。

「……寒そうだったから」

私は慌ててジャージを拾い上げ、
抱きしめる。

……あったかい。

「……ありがと」

小さく言うと。

空くんは自分の席へ戻りながら、
ぽつりと呟いた。

「別に」

またそれ。

でも。

耳、
ちょっと赤い。

私は思わず笑った。

今日。

ずっと、
ちょっと寂しかったのに。

今はもう、
そんなことどうでもよくなってた。
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