隣の席の悪魔【旧版】
◇
「星野」
低い声。
びくっと肩が跳ねる。
顔を上げる。
空くん。
いつの間にか、
目の前にいた。
「……何してんの」
「え?」
「ぼーっとしてた」
……見られてた。
「……別に」
私は思わず視線を逸らす。
すると。
空くんが、
少しだけ眉を寄せた。
「……なんか変」
その言い方が。
いつもより少し、
ぶっきらぼうで。
私は小さく唇を噛んだ。
◇
放課後。
結局。
一日中渡せなかった。
チョコは、
まだ鞄の中。
今日も走る約束。
なのに。
なんか。
顔が見れない。
「星野」
「……ん?」
「静か」
空くんが、
走りながらこっちを見る。
「なんかあった?」
「別に」
「嘘つけ」
見透かされる。
私は小さく息を吐いた。
「……空くんって、
チョコいっぱいもらった?」
空くんは、
少し黙る。
「まぁ」
……そっか。
人気だもん。
私も、
その中のひとりなんだ。
その時。
ぽつり。
「……でも」
「え?」
空くんが、
前を見たまま言う。
「待ってるの、
まだあるから」
心臓が、
一度だけ大きく跳ねる。
え。
誰。
好きな人?
私はそのまま、
言葉が出なかった。
◇
帰り道。
いつもの別れ道。
「じゃ」
空くんが言う。
空くんの背中が、
もう帰るって言ってる。
……今しかない。
でも。
私は、
ぎゅっと鞄を握る。
言え。
言え。
言わないと。
……でも。
「……また明日」
結局。
言えなかった。
空くんが、
少しだけ立ち止まる。
振り返る。
数秒。
そして。
「……またな」
空くんは、
少しだけ視線を落とした。
鞄の中の小さなチョコが、
やけに重く感じた。
「星野」
低い声。
びくっと肩が跳ねる。
顔を上げる。
空くん。
いつの間にか、
目の前にいた。
「……何してんの」
「え?」
「ぼーっとしてた」
……見られてた。
「……別に」
私は思わず視線を逸らす。
すると。
空くんが、
少しだけ眉を寄せた。
「……なんか変」
その言い方が。
いつもより少し、
ぶっきらぼうで。
私は小さく唇を噛んだ。
◇
放課後。
結局。
一日中渡せなかった。
チョコは、
まだ鞄の中。
今日も走る約束。
なのに。
なんか。
顔が見れない。
「星野」
「……ん?」
「静か」
空くんが、
走りながらこっちを見る。
「なんかあった?」
「別に」
「嘘つけ」
見透かされる。
私は小さく息を吐いた。
「……空くんって、
チョコいっぱいもらった?」
空くんは、
少し黙る。
「まぁ」
……そっか。
人気だもん。
私も、
その中のひとりなんだ。
その時。
ぽつり。
「……でも」
「え?」
空くんが、
前を見たまま言う。
「待ってるの、
まだあるから」
心臓が、
一度だけ大きく跳ねる。
え。
誰。
好きな人?
私はそのまま、
言葉が出なかった。
◇
帰り道。
いつもの別れ道。
「じゃ」
空くんが言う。
空くんの背中が、
もう帰るって言ってる。
……今しかない。
でも。
私は、
ぎゅっと鞄を握る。
言え。
言え。
言わないと。
……でも。
「……また明日」
結局。
言えなかった。
空くんが、
少しだけ立ち止まる。
振り返る。
数秒。
そして。
「……またな」
空くんは、
少しだけ視線を落とした。
鞄の中の小さなチョコが、
やけに重く感じた。