敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
入国審査を終えた久登は、すぐに璃子に「ふたりで少し話す時間が欲しい」と頼み、空港内のカフェで向かい合わせに座った。
璃子は久登が普段は自分から深く人に関わりにいくタイプではないのに、わざわざこうして呼び出すというのは、ただ事ではないと思っているようだった。
久登は、璃子の質問に言葉を詰まらせる。
改めて考えると、自分の花梨への想いは確かに強い。だが、はっきりとした関係があったわけではないのだ。
「昔の友人……というのが、一番近いのかもしれない。彼女には恩があって、ずっと探していたんだ」
「ほ、ほぅ……恩、ですか。それはそれは……」
璃子は少し驚いた様子を見せたが、久登の真剣な表情を前に、ひとまず話を信じたようだった。
「彼女は、なぜここで働くようになったんだ? 昔は料理人をしていて、辞めてからは実家に戻ったと聞いていた。てっきり、また夢を追いかけているものだと……」
そこまで言って、久登は口をつぐむ。
花梨が以前勤めていたONODERAのオーナーから聞いた、わずかな情報を手がかりに、千葉の飲食店を白みつぶしで探し回った。だが、何ひとつ手がかりは得られなかった。
心のどこかで、彼女はきっと、再び夢を追いかけている――そう信じたかったのかもしれない。
すると璃子は、一瞬だけ暗い表情で視線を落とし、重たい口を開いた。
「……須天さんが、どこまでご存じか分かりませんが。彼女、ひとりで双子を育てていて。時間もないし、金銭的にも余裕がなくて……。家族も全員亡くなっていて、頼れる人もいない状態だったんです。あまりにもかわいそうで、私が仕事を紹介した、という感じですね」
「花梨に……双子?」