敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
久登は、鈍器で頭を殴られたような、鈍い衝撃を受けた。
愛する人が、すでに〝誰かの〟子どもを産んでいた――その事実が、何よりもショックだった。
「はい。今、三歳になる子がふたりいます。どっちも男の子で、やんちゃ盛りですけど……とても可愛いですよ。ひとりで育てるのは大
変なので、時々、私も手伝いに行っていて……」
そう話す璃子の表情が、かすかに和らぐ。花梨の子どもたちを心から可愛いと思っている、その様子に、久登は胸が熱くなった。
同時に、子どもたちの年齢が気にかかる。三歳になったばかりだとすれば、妊娠期間を含めて、身ごもったのは約四年前。
それは――久登が彼女と身体を重ねた時期と重なっていた。
(まさか……そんなはずはない)
たった一晩の関係だった。もちろん、避妊も欠かさずしていた。
だが、眠る間も惜しんで、久登が彼女を求め続けたのも事実だった。
避妊具をつけていたからといって、百分の百、妊娠を防げる保証などどこにもない。
「子どもの父親は、今どうしているんだ? もちろん、養育費はもらっているんだよな?」
久登は動揺を抑えつつ璃子に尋ねると、彼女は再び厳しい表情を浮かべる。
「それが、相手ははっきりしてるようなんですが、花梨は話したがらなくて。たぶん、私が世話焼きだから、話したら私が相手に何か言い出すんじゃないかって怖いのかも……でも、花梨があんなに大変なのに相手は知らんぷりっていうのは、やっぱり親友として、納得がいっていなくて」
璃子の言い分は最もだと久登も思う。だが、彼女が相手の素性を話したがらないというのもやけに引っかかった。
「どうして彼女はそこまで一人で背負おうとするのだろう。何か、隠さなくちゃいけないことでもあるのか」
久登の言葉に、璃子はためらいがちに口を開いた。
「ほとんど聞いていませんが、彼女曰く、自分が妊娠したことを伝えたら、相手が困るそうです。既婚者ではないってはっきり言っていましたよ。どうやら家柄がいいみたいで」
「家柄……?」