敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
添えられたメッセージを見て、花梨はじんと胸が熱くなった。
想像以上に、久登が家族のことを考えてくれているのだと伝わってくる。
(やっぱり、沖縄で初めて一緒に過ごすのもいいけど……もう少し早く、四人で会えないかな)
そう考えたとき、ふいに璃子に誘ってもらったイベントが頭に浮かんだ。
ちょうど双子を連れて羽田に行く予定だ。
久登のスケジュールが合えば、少しだけ顔を合わせることもできるかもしれない。
そう思った花梨は、久登に思い切って相談してみようと決めた。
――週末。花梨は大翔と大輝の手を引いて、羽田空港の第二ターミナルへやって来た。
ガラス張りのエントランスを抜けると、天井の高いロビーに柔らかな光が満ちている。
行き交う人々の足音、案内アナウンス、遠くで響くスーツケースを引く音……。
空港特有のざわめきに、ふたりはきょろきょろと落ち着かない様子で周囲を見回していた。
「ここ、ひろいね!」
「ほんとに、ひこーきあるの?」
ふたりのはしゃぐ声に、花梨は思わず微笑む。
イベントの案内看板を見つけ、指定されたエリアへ向かうと、【キッズ・コックピット体験】と書かれたポスターの前には、すでに親子連れが集まり始めていた。
その一角で、見慣れた制服姿がこちらに気づき、手を振る。
「花梨! こっちこっち」
璃子だった。
仕事モードなのか、普段プライベートで会う時よりも濃いメイクで髪の毛もきっちりお団子に結び、その整った顔がより強調されている。
「来てくれてありがとう。あっちで目玉のシミュレーター体験があるわよ」
璃子が奥を指差した先には、操縦席を精巧に再現したブースが設けられていた。
モニターには滑走路の映像が映し出され、計器類がずらりと並んでいる。
「うわぁ……」
「しゅごい……!」
大翔と大輝の目が、一瞬で輝いた。
花梨はその喜びに満ちた横顔を見ながら、顔をほころばせる。
――やっぱり、今日連れてきて、本当によかった。
(そういえば久登さん……そろそろ羽田に着いてるのかな)
スマホを一瞬確認するが、特に連絡は来ていないようだ。
璃子の話では、フライトが終わってすぐ動けば、ぎりぎり間に合うかもしれない、とのことだった。
(無理をさせたくない気持ちもある。けれど、この機会を逃したら、また踏み出せなくなる気もして……)