敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
◆幸せな家族
羽田空港で久登と双子が初めて顔を合わせてから、二週間後――。
花梨は双子を連れて、羽田発那覇行き、スターロード航空の機内にいた。
久登は仕事で前日から沖縄に入っており、那覇でのステイを終えた今日から有給休暇に入っている。
そのタイミングに合わせて、花梨と子どもたちが合流する予定だった。
羽田で別れてから、久登と双子は直接会ってはいない。
それでも、数日に一度はテレビ電話をつなぎ、画面越しに顔を合わせていた。
画面の向こうで手を振るたび、双子は「ぱぱ!」と声を弾ませ、久登もまた、仕事の合間にその時間を楽しみにしていた。
三人が案内されたのは、国内線のビジネスクラス相当の座席。
久登が、花梨と子どもたちが快適に過ごせるよう手配してくれたものだ。
足元にはゆとりがあり、多少子どもたちが動いても迷惑になりにくい。
花梨は内心、ほっと胸をなで下ろした。
案の定、双子は落ち着かない様子で、きょろきょろと機内を見回している。
「ぱぱ、もうすぐ?」
「おきなわ、ぱぱいる?」
不意にそんな言葉が口をつく。花梨は思わず小さく笑って、頷いた。
「うん。もう少ししたら、パパに会えるよ」
花梨がそんなことを答えていると、客室乗務員が通路側から近づき、膝を軽く折って双子の目線に合わせた。
「お兄ちゃんたち、飛行機は好きかな?」
差し出されたのは、細長く折りたたまれた風船のおもちゃだった。
「「ひこうき! だいすき」」
乗務員は「どうぞ」と言って、ビニール袋に入った飛行機型の風船を花梨に手渡す。
花梨が受け取ると、手際よく風船に空気を入れ、口をきゅっと結んだ。
次の瞬間、細長い風船は、飛行機の形に整えられていく。
小さな手に風船をのせると、ふたりはたちまち目を輝かせた。
「くものなか、びゅーんしゅる!」
「びゅーん!」