敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
白い機体を模した風船を握りしめ、双子は小さな腕を伸ばす。
窓の外には、同じように白い雲が流れていた。
「これ、ぱぱにみせる?」
「うん。ぱぱ、よろこぶね」
そのやりとりに、花梨の胸がふっと温かくなる。
「大翔、大輝。ねんねしてる人もいるから、飛行機の中では、しー、だよ」
そう声を落とすと、双子は素直に頷き、風船を大事そうに抱えながら、口の中で小さく「びゅーん」と繰り返した。
(大きくなったね。久登さんも、きっと同じことを思う)
久登も、双子も、そして花梨自身も、この家族旅行を、心から楽しみにしている。
窓の外には、まっさらな空が続いている。
やがて遠くに、海の色が一層濃い青へと変わっていくのが見えた。
久登が待つ沖縄は、もうすぐそこだった。
那覇空港から車で向かった先、白い石造りのエントランスを抜けると、ラナイ・ブルー・リゾート沖縄のロビーが目の前に広がった。
高い天井から、柔らかな自然光が差し込む。
磨き上げられた石の床は海の色を淡く映し、足元では水盤を流れる水音が静かに響いている。
南国の花がさりげなく配され、空間全体が、喧騒とは無縁のゆったりとした時間に包まれていた。
そのロビーの中央に、久登は立っていた。
いつもとは違う、無造作に整えた髪。ラフなTシャツに短パンというオフの装いが妙に新鮮で、花梨は胸が高鳴っているのを感じる。
(こういう久登さん、初めて見たかも……いつもは制服姿ばかりだったから)
「花梨、大翔、大輝。長旅、お疲れ様」