敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
久登が手を振ったその瞬間、双子の表情がぱっと花開いた。
「ぱぱ!」
「ぱぱぁ!」
久登はしゃがみ込むより早く、ふたりをまとめて腕の中に引き寄せる。
抱き上げられた小さな身体が、ぎゅっと久登にしがみついた。
その光景を、花梨は少し離れたところで微笑ましく眺めていた。互いに会いたくて仕方がなかった、と伝わってくる。
もう久登は、ふたりにとって完全に〝父親〟という認識なのだ。
ワンテンポ遅れて、花梨は久登に声をかける。
「久登さん、お仕事お疲れさまでした。おかげで、すごく快適にここまで来れました」
そう告げた、その直後だった。
久登は双子をそっと下ろすと、迷いなく花梨を抱きしめた。
「っ⁉」
「花梨。会いたかった。来てくれて、ありがとう」
ぎゅっと強く抱きしめられ、花梨の鼓動が一気に速まる。
どう反応すればいいのか戸惑っていると、突然、足元から小さな衝撃が伝わった。
「ぼくのままだもん!」
「かってにさわるなぁー!」
久登と花梨の間に、双子が割って入ってきたのだ。
久登は一瞬きょとんとし、次の瞬間、はっとした表情になる。
「あ……悪い」
慌てて膝をつき、双子と目線を合わせる。
「順番、だったな。ちゃんと分かってる」
苦笑いを浮かべる久登に、それでも双子はむすっとしたままだ。
「ぼくだって、ままをあいちてる!」
「ぼくもー!」
花梨は思わず、くすっと笑ってしまう。
困ったような久登の顔も、必死に主張する双子の姿も、どちらも愛おしい。
「もう、みんな。喧嘩はおしまい」
花梨は久登と、双子の間にしゃがんで仲裁を試みる。
自分でも少し照れてしまうような言葉を口にしながら、それでも胸の奥は、温かな幸福で満たされていた。
そのあとは、久登は徹底して双子優先だった。
昼食を終えたあと、四人はそのままオーキッドプールへ向かう。
白いパラソルが並ぶそのプールは、水面一面に白を基調とした細かなモザイクタイルが敷き詰められ、陽の角度によって、乳白色にも、淡い青にも表情を変える。
海と空の色をそのまま映し込むようにつくられた、開放感のあるメインプールだ。
久登がTシャツを脱いだ瞬間、花梨は思わず息をのむ。
引き締まった肩から背中にかけてのラインは、程よく筋肉がついていて、陽の光を受けてくっきりと浮かび上がっている。
(すごい。あんまり見たくないのに……)