敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
他の誰にも聞こえない声で、彼はそっと耳打ちする。
「可愛い。すごく似合ってる」
その艶やかな囁きに、花梨の肩がびくりと跳ねた。
「ちょ、久登さん……でも、太った……ちょっと」
すると彼の指先が、タオル越しに花梨の太ももを、ほんの少しなぞる。
確かめるような、一瞬だけの接触だ。心臓が、どくん、と大きく鳴る。
「どんな花梨でも魅力的だよ。今のほうが、ずっと色っぽい」
「そんな……」
視線を上げると、久登は一瞬花梨に微笑みかけると、何事もなかったように、双子にストローの向きを直し始めた。
(ずるい。久登さんったら……)
彼の男の顔に触れてしまった気がして、少しだけむず痒い。
それでも、体の芯がじんわりと熱を帯びていくのを、花梨は止められなかった。
夜は、ホテルの最上階にある創作レストランで過ごした。
白を基調とした上質な空間は、天井が高く、大きなガラス窓の向こうには、夜の海が静かに広がっている。
波の音はほとんど聞こえず、代わりに、控えめなカトラリーの触れ合う音と、低く抑えられた会話だけが、心地よく空間を満たしていた。テーブルには、花一輪と柔らかなキャンドルの光。
照明は落とされ、料理だけが美しく浮かび上がるように設えられている。
テーブルに並ぶのは、沖縄の食材をふんだんに使ったコース料理。白い皿の上に描かれた繊細な盛り付けに、花梨は思わず目を細めた。
「……きれい」
そう呟くと、久登が小さく笑った。
「花梨は、こういうの好きかなと思ったんだ」
一皿ずつ運ばれてくる料理は、どれも手が込んでいて優しい味付けだ。
素材の味もちゃんと感じられ、野菜が好きな子供たちも喜んで食べている。
花梨は自然と、かつて抱いていた夢を思い出していた。
(こういう料理、また作ってみたいな……)
そのことを口に出す前に、久登がふいに言う。
「花梨」
花梨がナイフを置き彼を見ると、まっすぐな視線を向けられていた。
「こういうのもいいけど……俺はやっぱり、花梨の料理が食べたい」
「可愛い。すごく似合ってる」
その艶やかな囁きに、花梨の肩がびくりと跳ねた。
「ちょ、久登さん……でも、太った……ちょっと」
すると彼の指先が、タオル越しに花梨の太ももを、ほんの少しなぞる。
確かめるような、一瞬だけの接触だ。心臓が、どくん、と大きく鳴る。
「どんな花梨でも魅力的だよ。今のほうが、ずっと色っぽい」
「そんな……」
視線を上げると、久登は一瞬花梨に微笑みかけると、何事もなかったように、双子にストローの向きを直し始めた。
(ずるい。久登さんったら……)
彼の男の顔に触れてしまった気がして、少しだけむず痒い。
それでも、体の芯がじんわりと熱を帯びていくのを、花梨は止められなかった。
夜は、ホテルの最上階にある創作レストランで過ごした。
白を基調とした上質な空間は、天井が高く、大きなガラス窓の向こうには、夜の海が静かに広がっている。
波の音はほとんど聞こえず、代わりに、控えめなカトラリーの触れ合う音と、低く抑えられた会話だけが、心地よく空間を満たしていた。テーブルには、花一輪と柔らかなキャンドルの光。
照明は落とされ、料理だけが美しく浮かび上がるように設えられている。
テーブルに並ぶのは、沖縄の食材をふんだんに使ったコース料理。白い皿の上に描かれた繊細な盛り付けに、花梨は思わず目を細めた。
「……きれい」
そう呟くと、久登が小さく笑った。
「花梨は、こういうの好きかなと思ったんだ」
一皿ずつ運ばれてくる料理は、どれも手が込んでいて優しい味付けだ。
素材の味もちゃんと感じられ、野菜が好きな子供たちも喜んで食べている。
花梨は自然と、かつて抱いていた夢を思い出していた。
(こういう料理、また作ってみたいな……)
そのことを口に出す前に、久登がふいに言う。
「花梨」
花梨がナイフを置き彼を見ると、まっすぐな視線を向けられていた。
「こういうのもいいけど……俺はやっぱり、花梨の料理が食べたい」