敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~
花梨は少し驚いて、瞬きをする。
「え?」
「前に言ってただろ。君のスープが一番の好物だって」
久登は花梨に微笑む。
彼女は愛おしい思い出の琴線に触れ、思わず表情を和らげた。
「……じゃあ、今度。そんなに気取らないけど、家のごはん、作るね」
「とても楽しみだ」
一際嬉しそうに笑う彼に、つられて目元が緩む。
双子は、最初こそ元気に食べていたものの、デザートが運ばれる頃には、すっかり眠そうになっていた。
急いで食事を終え、久登と一緒に子供たちを担いで部屋に戻る。
彼が用意してくれたスイートルームは白を基調とした、高級感溢れるデザイン。
リビングは広く、天井まで届く窓の向こうに、月光の光に照らされた夜の海が広がっており落ち着いた表情をしていた。
ベッドルームに双子を連れていくと、二人は大きなベッドに転がるようにして横になり、数秒もしないうちに、すぅ、と規則正しい寝息を立て始めた。
(なんでだろう。ふたりとも、寝顔は久登さんにそっくりなのよね)
花梨は、その寝顔を見下ろして、そっと心の中で囁く。すると近くで、ふっと微かに近くで笑い声が響いた。
「こんなに可愛い天使が毎日家にいたら、仕事に行きたくなるな」
「……ふふ。そうでしょう?」
久登は笑顔で頷くと、静かに花梨へ手を差し伸べる。
「少し、あっちでゆっくりしないか」
花梨が彼の手に自分の手を置くと、強く握り返される。そのぬくもりと力強さに、鼓動が微かに速度を上げた。
リビングに戻り、花梨は久登に促されて皮のソファに腰掛けた。
照明が落とされ、間接灯の柔らかな光がほどよい陰影を作っており、ムード満点だ。
彼は冷蔵庫に用意していたシャンパンボトルと、氷の入ったアイスペール、そして二つのグラスを取り出す。
慣れた手つきで、花梨の前に置いてあったグラスに透明感のあるシャンパンを注ぎ、炭酸がしゅわしゅわと音を立てた。海の泡のように現れては消えるその姿が綺麗で、花梨はぼんやりと見とれた。
「「乾杯」」