【執着兄弟の溺愛シリーズ】内緒の三つ子を出産したら、執念で見つけ出した凄腕パイロットから重たい独占愛を刻み込まれる
 付き合い始めてからも、氷室さんは常に私を第一に考えてくれた。
ちょうどタイミング悪く、付き合った時期に国際線のフライトが重なってしまった。
 欧米などの長距離路線が多く疲れているはずなのに、氷室さんはこまめに連絡をくれた。日本に帰って来てからも、時間を作り『会おう』と誘ってくれる。
 一週間に一度ほどしか会えなかったとしても何の不安もなく穏やかに過ごせるのは、氷室さんがしっかり私への愛情を向けてくれるお陰だ。
 とはいえ、今もジムに一人で行くのは絶対に禁止だと言い付けられている。
 付き合ってから一か月が過ぎた。この日の夜、外で食事をした後、私は氷室さんの家に初めて招待された。
 彼のマンションは高所得者が暮らすエリアにあった。駅近で利便性も良く、周りには同じような高層マンションが立ち並んでいる。
 エントランスにはコンシェルジュが常駐し、宅配便などもすべて預かってくれるらしい。さらにマンション内には子供たちを遊ばせられるプレイルームや会議室もあるというから驚きだ。
「ひ、広すぎる……」
 玄関に入って思わず声を上げるが、室内はさらに圧巻だった。広々とした部屋の中にはセンスの良い家具や家電が整然と置かれている。
「適当に座ってて」
 氷室さんは私に告げてキッチンに立つ。
 私は言われた通り大きなソファに腰掛けて興味津々で室内をぐるりと見渡す。
 室内はモノトーンで統一されていて、まるでモデルルームのようだ。その中にある私の背丈ほどの観葉植物が良いアクセントなっている。
 パイロットという職業で忙しいはずなのに、部屋の中はきちんと整理整頓されているから驚きだ。高級感を醸し出しているインテリアからもこだわりを感じさせた。
 とはいえ、あまりに綺麗すぎていて、どことなく生活感がない気がする。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
 氷室さんが木製のトレイにグラスをふたつ乗せてやってきた。
 お礼を言って口を付けると、冷たいお茶からはふわりとフルーティな匂いがした。
「わ、すごい。キンモクセイのお茶ですか?」
 氷室さんが私の隣に腰掛ける。
「そう。キンモクセイの花を乾燥させた桂花茶っていうお茶なんだ。前に飲んで美味しかったから、凛花にも飲んでもらいたいと思って買っておいた」
「わぁ、嬉しいです」
 美味しい物や気に入った物を共有しようと思ってくれる、その気持ちが何よりも嬉しい。
「凛花用にも買っておいたから、持って帰って家でも飲んでよ」
「ありがとうございます。でも、いつももらってばっかりで申し訳なくて……。今度、私にも何かプレゼントさせてください」
「そんなの気にしないでいいんだって。俺が好きでやってることだから」
「でも……」
 一緒に出掛けると氷室さんは私にお財布を出す隙を与えてくれない。こうやってお土産なども色々もらっているし、いくら高収入なパイロットとはいえ金銭的負担をかけてしまうのは何となく心苦しい。
「じゃあさ」
 すると、、氷室さんがグッと私の腰を引き寄せた。
「代わりに凛花が欲しいって言ったら?」
「……っ」
「今、俺が一番欲しいのは凛花だよ」
 氷室さんは熱っぽい視線を私に向ける。
 途端、ふたりの間に漂う空気が甘くなる。
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