【執着兄弟の溺愛シリーズ】内緒の三つ子を出産したら、執念で見つけ出した凄腕パイロットから重たい独占愛を刻み込まれる
私は子どもたちを三人用のベビーカーに乗せて園を出発する。三歳まで乗れるとはいえ、二歳になりさすがにちょっぴり窮屈そうだ。
 すると、ちょうどバッグを肩にかけて裏口から出てきた成美と出くわした。
「あ、凜花。今日って健康診断だったんだよね? お疲れ様っ」
 ピンク色のロングワンピースにオフホワイトのカーディガンを羽織った成美がこちらへ歩み寄ってくる。
「成美も仕事お疲れ様。これからどこかへお出掛け? もしかしてデート?」
 私は成美の格好を見て茶化すように微笑んだ。
「ふふっ、分かるっ?」
「もしかして彼氏?」
「うーん、そこまではまだ。でも、スペック良いし、付き合えたらいいなぁ」
「成美ならきっと大丈夫だよ」
 ふふっと微笑む彼女は同性の私から見てもとびっきり可愛らしい。
 その時、ふと翔真さんの言葉が頭に浮かんだ。
『凛花が俺の前からいなくなった後、ジムで末藤さんに会ったんだ。そこで保育園も辞めて引っ越したって聞いたんだ」』
 私は何気なく成美に話を振った。
「あのさ、三年くらい前……成美、翔真さんとジムで会った?」
 私の言葉に成美の顔から笑みが消える。
「えっ? 会ってないけど。どうして今更そんなことを聞くの?」
 成美は首を傾げて大きな瞳をジッとこちらに向ける。私は慌てて誤魔化した。
「あ、ううん。何でもない。ちょっと気になって」
「あの人、最低な人だったよね。別れて正解だよっ」
 成美の言葉に疑念が湧き上がる。
 翔真さんは確かに成美に会ったと言っていた。それなのに、どうして成美は否定したんだろう。
 もう三年も前のことだし忘れているだけだろうか……。
「マーマ! おなかすいた~!」
「ぼくも」
 その声にハッと我に返る。
 琉翔と晴翔が足をバタバタさせて騒ぎ始めた。三列目に座る奏翔はいつの間にかぐっすりと眠っている。
「私もそろそろ行かなくちゃ。凛花、またねっ」
「うん。また明日」
 成美と別れて保育園を出てベビーカーを押してアパートまでの道のりを歩き出す。
 すると、保育園から一本路地に入った場所に見覚えのある白い乗用車を見つけた。
目を向けると、運転席にいたのは翔真さんだった。
 翔真さんは一定の距離を保ちつつ、アパートまで着いて来た。
 もしかして、彼は私の伝えた住所が正しいかその目で確認しようとしているのかもしれない。
 アパートの前で三つ子をベビーカーから降ろして部屋の扉を開ける。
振り返ると、近くのに車を止めて私達の様子を伺っていた翔真さんは軽く手を挙げて去って行った。 
< 42 / 70 >

この作品をシェア

pagetop