【執着兄弟の溺愛シリーズ】内緒の三つ子を出産したら、執念で見つけ出した凄腕パイロットから重たい独占愛を刻み込まれる
この日、私と翔真さんは家から歩いて十分ほどの距離にある大きな公園で待ち合わせをした。
「そろそろ行くよ~!」
 三つ子に声を掛けて家を出る直前で晴翔が部屋の隅に移動し、カーテンにくるまって息張った。
「あっ、晴翔! 待って、トイレ!」
 二歳五か月になり、トイレトレーニング真っ最中の三人。
 トイレへ行きたい兆候があればトイレへ連れて行くようにしているが、こうやってこっそりしようとすることも多い。
 私が晴翔に声を掛ける傍で、奏翔と琉翔がケンカを初めて「うわあぁぁあん!」と大泣きを始める。
 出かける前からてんやわんやで汗だくになったのは、言うまでもない。
 その後、公園が大好きな三つ子たちは大喜びで自らベビーカーに乗り込んで「しゅっぱーつ!」と拳を突き上げた。
「お待たせしました!」
 約束の時間ギリギリに公園に着くと、入り口にはすでに翔真さんの姿があった。
 黒いマウンテンパーカーを着てスニーカーを履いた翔真さん。
 動きやすいシンプルなコーデにも関わらず、スタイルが良いため人の目を惹く。
 翔真さんは私たちに気が付くと、ぱあっと満面の笑みを浮かべて手を挙げた。
 公園内に入り、子どもたちをベビーカーから降ろす。
 三つ子たちは突然現れた翔真さんを不思議そうに見つめていた。
「初めまして、氷室翔真です」
 翔真さんはしゃがみこんで子どもたちと同じ目線になった。
「おじさん、だぁれ~?」
 好奇心旺盛で人懐っこい琉翔は翔真さんを見て目をキラキラさせている。
 そんな琉翔の頭を翔真さんは優しく撫でた。
「君は琉翔くんか。俺はママの友達だよ。昔から仲良しなんだ」
「ふうん。いっしょにあそぶ?」
「うん。晴翔くんと奏翔くんも一緒に遊んでいい?」
 翔真さんの言葉にふたりは目を見合わせると、「いいよ~」と笑みを浮かべた。
「ありがとう」
 翔真さんは想像していたよりもずっと子どもの扱いが上手かった。甥っ子と姪っ子がいて子ども慣れしているせいもあるだろう。彼が子ども好きなのがその雰囲気を通して伝わってくる。
 子どもは大人が思っている以上に本質を見抜く力を持っている。大人の声のトーンや話し方、視線の動きなどその大人が安心できる人なのかどうかを一瞬で見抜くのだ。
 翔真さんはそんな子どもたちのお眼鏡にかなったようだ
「よしっ、じゃあかけっこ勝負だ。行くよ、よーいドンッ!」
 駆けて行く翔真さんの後を追って、三人がキャッキャッと声を上げて駆けて行く。
「まってよぉ!」
 翔真さんと三つ子が遊ぶ姿を見ていると、胸がじんわりと温かくなる。
 それから、翔真さんと三つ子たちは公園遊びを心から満喫した。
普段、ひとりで三つ子を公園に連れて行くのは相当な覚悟を要する。
ひとりは滑り台、ひとりは砂場、ひとりは虫探し。三人がバラバラに動くため、物理的に手が足りないのだ。
さらに二歳になってからイヤイヤ期に突入したため、ひとりが泣き出すと連鎖的に全員の機嫌が悪くなることもある
一秒も目が離せない極限状態が続き、家に帰るとどっと疲れてぐったり動けなくなるのは毎度のことだ。
私はベビーカーを邪魔にならない場所へ置き、四人の元へ駆けて行く。
翔真さんと三つ子たちは公園の草むらの前にしゃがみこんでいた。
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