【執着兄弟の溺愛シリーズ】内緒の三つ子を出産したら、執念で見つけ出した凄腕パイロットから重たい独占愛を刻み込まれる
いつもはジムの前で別れて、互いに帰路に就いている。
 正直、仕事後に家に帰ってから真っすぐジムへ向かうため、お腹はペコペコだった。
 けれど、まだ完璧に氷室さんに気を許したわけではない。あくまで彼はジム仲間であり、食事に行く間柄ではない。
 一緒にトレーニングはするものの、彼との間にはまだ一線を引いていた。
「いえ、私は空いていないので大丈夫です」
「本当に?」
「はい」
 笑顔で答えた瞬間、「ぐるるる~!」と盛大にお腹が鳴った。ハッとしてお腹を押さえるも、その音はすべて氷室さんに筒抜けだったようだ。
「やっぱりお腹空いてるじゃん」
「ち、違います! お腹は鳴りましたけど、空いたわけじゃ――」
 言い訳している傍から、再びお腹が鳴ってしまう。
「前から思ってたけどさ、凛花先生って、俺のこと嫌いだよね?」
「えっ?」
「結構分かりやすく拒絶されてるなとは思ってたんだけど。俺、何か悪いことしたかな……?」
 ふっと力なく笑うと、氷室さんは落ち込んだように視線を足元に下げた。
彼が見せた切なげな表情にギュッと胸が締め付けられる。
 氷室さんにも私が避けていることを知られていたんだ……。
 一郎くんとの出来事で男性を信じられなくなった私は、彼と同じように優しい氷室さんから距離を置こうとしていた。
 けれど、それを氷室さんは知らないし、私側の都合でしかない。
 自分を氷室さんの立場に置き換えたら、理由も分からず避けられ続けたら先程のような反応になってもおかしくはない。
「すみません……。氷室さんが悪いわけでも嫌いなわけでもないんです。ただ、私の問題で……」
 申し訳なさが募り慌てて弁解すると、氷室さんが顔を持ち上げた。 
「そっか。じゃあ、その話は一緒に食事しながらゆっくり聞くよ」
 先程までの表情とは一転し、彼はニコッと白い歯を見せて笑みを浮かべた。

 氷室さんのペースにすっかり乗せられた私は、ジムから徒歩数分の距離にある個室居酒屋へとやってきた。
居酒屋ながら料理の品数は豊富でキッズメニューも充実している。金曜日の夜ということもあり、店内は混雑し、あちこちから楽しそうな話し声や子どものはしゃぎ声が聞こえてくる。
「今日もお疲れ様」
「お疲れ様でした」
 生ビールで乾杯しつつ、串から外した焼き鳥を頬張る。
 古民家風の落ち着いた個室内は、オレンジの温かな色の照明で照らされている。
 トレーニング後で喉が渇いていたのか、氷室さんはあっという間に生ビールを飲み干す。
さらにお代わりのハイボールを半分ほど飲む。気持ちのいい飲みっぷりを見て思わず尋ねる。
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