酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
 エリサリナは、王国騎士団に所属する女性騎士だ。王都の学園で学んだ後、騎士団に入団したのが十八歳のとき。数少ない女性騎士というのもあり、第二王女の専属近衛騎士として抜擢された。
 その第二王女が先日、新しい年が明けてすぐに、公爵家に嫁いだ。侍女であれば婚家についていく者もいるが、エリサリナは騎士である。王女付きだったとはいえ、国に仕える人間なのだ。そんな彼女が公爵家についていくことはなかった。
 第二王女は涙を流し、エリサリナとの別れを惜しみ、挙げ句「これからは社交の場で気軽に話しかけてちょうだい」とまで声をかけてくれた。
 エリサリナだって二十二歳になり、結婚適齢期、いや、この国ではギリギリ適齢期なくらいである。あと数年過ぎれば、行き遅れと揶揄されるような年齢であるため、両親がこれを機に騎士を辞めて家に戻ってくるよう言い出したのだ。
 昨日が騎士団任務の最終日だった。お世話になった人たちに挨拶をし、その後、気心しれた仲間たちと夜の街に繰り出したのは覚えている。彼らがエリサリナの送別会を開いてくれた。
 美味しい料理に豊潤な酒は、エリサリナの舌を楽しませるのに十分なものであり、次から次にグラスと皿を空け「おかわり~」と陽気な声をあげていたのだが――
(あれ? 店を出た記憶がない……)
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