酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
 どうやらお酒を飲み過ぎたせいか、送別会の途中からの記憶がなかった。
(あぁ……きっと彼らの誰かが送ってくれてここまで来て……まぁ、そういうことね……)
 慣れ親しんだ仲だからと油断したのだろう。彼らはエリサリナを女と見ていなかったし、エリサリナも彼らに恋情を抱いたことはない。
(過ぎたことは仕方ないか)
 現状を把握できたところで、ベッドから下りた。相手がいないのは、寝ているエリサリナを気遣ったからなのか、それとも逃げたか。
 どちらにしろ、エリサリナは今日、王都を経つ。一夜のこの関係を引きずる必要もないだろう。
 少し身体に痛みは残るものの、動けないほどではない。どういう抱かれ方をしたのかわからないが、胸と腹部、内ももにまで赤紫の痕がいくつも残っていた。
(誰だろ?)
 これからその誰かと顔を合わせるのであれば気まずいが、今後、その誰かと会うこともない。
 となれば、一夜の秘め事として胸の奥にしまっておけばいい。この国では結婚に必ずしも処女性が求められるわけでもなく、結婚前の火遊びとして割り切る女性も多い。
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