酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
 先ほどからエリサリナの心臓は、ドキドキと忙しなく動いている。
(二年前……アイゼルと何かしたっけ……?)
「やはり、年下の僕では頼りありませんか?」
 エリサリナを見つめる真剣な瞳は、まるで湖の底のように深い青。この眼差しをどこかで見た覚えはあるのだが、そのどこかを思い出せない。少なくとも彼と顔を合わせていたのは騎士団を辞める二年前まで。
 ちょうどその辞める頃に、彼と何かあったらしいのだが。
「……ごめん。二年前、何があったのかをよく覚えていなくて……」
 ガタガタっと激しい音がしたのは、アイゼルが勢いよく立ち上がったからだ。
「二年前……覚えていない……?」
「あ、うん。二年前って、ちょうど私が騎士団を辞めたときよね?」
「そうです。あのときの送別会で……」
 それはまさしく、エリサリナが酔っ払って記憶をなくしたときだ。だったらなおのこと、覚えているわけがない。
「ごめん。送別会のことを言われると、ちょっと……」
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