酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
 エリサリナは浴室で昨夜の名残を洗い流してから着替えた。
(お迎えは……十時だったかな……って、今、何時?)
 室内をぐるりと見回し時間を確認すると、朝の九時を過ぎた頃。時間に余裕はあるが、騎士団であればとっくに朝議が始まっている時間である。相手が送別会の出席者のうちの誰かと考えるのであれば、間違いなく騎士団の人間。となれば彼は、朝議に間に合うようにとここを出たのだろう。
 そして部屋を見回して気がついた。
(もしかして、いい部屋だった……?)
 一夜の関係を楽しむための宿ではないようだ。なんとなくいい部屋だろうなとは、浴室を使っても思っていたのだが。
 テーブルの上には鍵が置かれていたため、それを手にしたエリサリナは部屋を出た。
(あ……やっぱりいいところかも……)
 通路を照らす明かりも花の形をしていて華やかで、壁の装飾も繊細なものだ。吹き抜けの天井からは豪奢なシャンデリアがぶら下がっている。
 螺旋階段をゆっくり下りたエリサリナは、そこでやっと理解した。
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