宅配業者のお兄さんは前腕の血管が誰より浮き出ているので――フェチがバレたらなぜか激愛で囲い込まれました
都内にある、小さな建築事務所。大学を卒業し事務員として入社してから、もう四年が経つ。
私、舞園夕雁は今日も宅配業者のお兄さんがやってくるその時を、そわそわしながら待っていた。
「こんにちは!」
その声と同時に、私は扉を振り向いた。
段ボールを手に、爽やかな笑顔でやってくる彼。歳は私と同じくらいか、少し上の二十代後半だろう。
帽子の下は短く切り揃えられた黒髪で、それが彼の爽やかさをより強調している。
いつもの業者であることを示す、緑と白のストライプ柄の制服は半袖だ。
そこから覗く、彼の前腕。鍛えられたその部位をこっそり見るのが私の日課であり、癒しの時間だ。
「こんにちは。いつもありがとうございます」
そして、今日も逞しい前腕をありがとうございます……!
名札に書かれた【唐木恭輔】という文字と彼の無表情の写真をチェックするふりをして、その隣の左前腕をガン見する。
彼は年明けから、このエリアの担当に配置換えでやってきたらしい。それから四か月、私は彼の素晴らしすぎる前腕との運命の出会いに感謝する毎日である。
注文していた印刷用紙の入った段ボールは、全部で三つ。ペーパーレス化の進むこの時代に、建築業界はどうしてこうもコピー用紙を使うのだろう。
まあ、これがないと彼の筋肉の隆起を拝めなくなってしまうのだけれど。
「重いですよね、すみません」
「いえ、このくらいなんてことないですよ」
彼は笑みを崩さず、入り口にある机の上に丁寧に段ボールをのせてくれる。
私は取り出したハンコで、彼の差し出した配達票に押印した。
「これ、コピー用紙ですよね? コピー機まで運びましょうか?」
彼は私の答えを待つ間もなく、再び段ボールを持ち上げる。
「よいしょっ」と小さく声を上げ、そのまま奥にあるコピー機の隣に段ボールを積んでくれた。
私は慌てて、給湯室の冷蔵庫からペットボトルの水を取り出した。
それから、段ボールを運び終えた彼に差し出す。
「よかったらどうぞ」
「毎回、すみません」
彼は申し訳なさそうにしながらも、笑顔で受け取ってくれる。
ペットボトルを握る彼の前腕屈筋群がぴくりと動いたのが見えて、ニヤけそうになるのを必死に抑え込んだ。
水は会社の備品ではない。私個人からの、差し入れだ。
きっと彼はそんなこと、微塵も気づいていないのだろうけれど。
私、舞園夕雁は今日も宅配業者のお兄さんがやってくるその時を、そわそわしながら待っていた。
「こんにちは!」
その声と同時に、私は扉を振り向いた。
段ボールを手に、爽やかな笑顔でやってくる彼。歳は私と同じくらいか、少し上の二十代後半だろう。
帽子の下は短く切り揃えられた黒髪で、それが彼の爽やかさをより強調している。
いつもの業者であることを示す、緑と白のストライプ柄の制服は半袖だ。
そこから覗く、彼の前腕。鍛えられたその部位をこっそり見るのが私の日課であり、癒しの時間だ。
「こんにちは。いつもありがとうございます」
そして、今日も逞しい前腕をありがとうございます……!
名札に書かれた【唐木恭輔】という文字と彼の無表情の写真をチェックするふりをして、その隣の左前腕をガン見する。
彼は年明けから、このエリアの担当に配置換えでやってきたらしい。それから四か月、私は彼の素晴らしすぎる前腕との運命の出会いに感謝する毎日である。
注文していた印刷用紙の入った段ボールは、全部で三つ。ペーパーレス化の進むこの時代に、建築業界はどうしてこうもコピー用紙を使うのだろう。
まあ、これがないと彼の筋肉の隆起を拝めなくなってしまうのだけれど。
「重いですよね、すみません」
「いえ、このくらいなんてことないですよ」
彼は笑みを崩さず、入り口にある机の上に丁寧に段ボールをのせてくれる。
私は取り出したハンコで、彼の差し出した配達票に押印した。
「これ、コピー用紙ですよね? コピー機まで運びましょうか?」
彼は私の答えを待つ間もなく、再び段ボールを持ち上げる。
「よいしょっ」と小さく声を上げ、そのまま奥にあるコピー機の隣に段ボールを積んでくれた。
私は慌てて、給湯室の冷蔵庫からペットボトルの水を取り出した。
それから、段ボールを運び終えた彼に差し出す。
「よかったらどうぞ」
「毎回、すみません」
彼は申し訳なさそうにしながらも、笑顔で受け取ってくれる。
ペットボトルを握る彼の前腕屈筋群がぴくりと動いたのが見えて、ニヤけそうになるのを必死に抑え込んだ。
水は会社の備品ではない。私個人からの、差し入れだ。
きっと彼はそんなこと、微塵も気づいていないのだろうけれど。