宅配業者のお兄さんは前腕の血管が誰より浮き出ているので――フェチがバレたらなぜか激愛で囲い込まれました
「唐木さん!」
トラックの後方を確認している彼を呼び止める。
唐木さんはこちらを見て一瞬驚いた顔をしたものの、すぐにいつもの爽やかな笑みを浮かべた。
「舞園さん、どうしました?」
だけど、その笑顔がなんとなく他人行儀なものに見えて、胸がずきんと鈍く痛む。
私は彼の下へ駆けた。彼の前で立ち止まり、伝える。
「あの、……もしかして、具合悪かったりします? だとしたら、運ばせてしまって……、申し訳ないなって」
息を切らしながら言うと、唐木さんは気まずそうに眉を八の字にした。
「あー、いえ。元気ですよ。お気遣いありがとうございます」
「じゃあ、なんで……」
ちらりと彼の前腕を見る。
だが、すぐに視線を彼に戻した。会話をしているのに、腕を見つめるのは失礼な気がした。
「暑いですよね、その袖」
そう言うが、彼の表情は変わらない。
「暑くないと言ったら嘘になります。でも……」
唐木さんが言葉を濁す。そのまま視線を逸らされてしまい、私は俯いた。
勝手な思い込みで追いかけて、迷惑だったろう。そもそも彼は仕事中なのに、私はなにをしているのだろう。
「やっぱり、長袖でも気になりますよね。俺の腕」
唐突な彼の言葉に、心臓が飛び出そうなほど跳ねた。
「あ、あの、それ……!」
顔を跳ね上げたが、徐々に頬の熱が上がっていくのを感じる。
まさか唐木さんに、腕を見ていたことを気づかれていたなんて!
だが唐木さんはまだ気まずそうな顔のまま、後頭部に右手を置く。
「学生の頃に水球をやってた名残で、なかなか筋肉が落ちなくて。太いし血管も目立つし、気持ち悪いですよね」
…………え?
顔の熱は一気に冷めた。思考が追いつかず、そのままキョトンとしてしまう。
すると、唐木さんは続けた。
「いつも舞園さんに見られているなって、なんとなく気づいていたんです。最初は嬉しかったんですけど、徐々に俺の腕を見ている時、舞園さんの眉間に皺が寄っていることに気づいて。この間自転車を直した時に、やっぱり舞園さんはこの前腕が苦手なんだなと、改めて気づきました」
唐木さんはそう言うと、こちらを見て言葉を続けた。
「他の部分とバランスの取れていない、筋肉質な前腕。気持ち悪いと自分でも思って――」
「その前腕がいいのに」
つい、彼の言葉を遮って飛び出た言葉。
気づいたら、そのまま彼の顔を見て続けていた。
「その血管の浮き出るほど美しい筋肉質な前腕がいいから、私は見ていたんです! 卑下しないでください。誇ってください。唐木さんの前腕は、その筋肉もほとばしる血管も、国宝級に素敵なんですから!」
トラックの後方を確認している彼を呼び止める。
唐木さんはこちらを見て一瞬驚いた顔をしたものの、すぐにいつもの爽やかな笑みを浮かべた。
「舞園さん、どうしました?」
だけど、その笑顔がなんとなく他人行儀なものに見えて、胸がずきんと鈍く痛む。
私は彼の下へ駆けた。彼の前で立ち止まり、伝える。
「あの、……もしかして、具合悪かったりします? だとしたら、運ばせてしまって……、申し訳ないなって」
息を切らしながら言うと、唐木さんは気まずそうに眉を八の字にした。
「あー、いえ。元気ですよ。お気遣いありがとうございます」
「じゃあ、なんで……」
ちらりと彼の前腕を見る。
だが、すぐに視線を彼に戻した。会話をしているのに、腕を見つめるのは失礼な気がした。
「暑いですよね、その袖」
そう言うが、彼の表情は変わらない。
「暑くないと言ったら嘘になります。でも……」
唐木さんが言葉を濁す。そのまま視線を逸らされてしまい、私は俯いた。
勝手な思い込みで追いかけて、迷惑だったろう。そもそも彼は仕事中なのに、私はなにをしているのだろう。
「やっぱり、長袖でも気になりますよね。俺の腕」
唐突な彼の言葉に、心臓が飛び出そうなほど跳ねた。
「あ、あの、それ……!」
顔を跳ね上げたが、徐々に頬の熱が上がっていくのを感じる。
まさか唐木さんに、腕を見ていたことを気づかれていたなんて!
だが唐木さんはまだ気まずそうな顔のまま、後頭部に右手を置く。
「学生の頃に水球をやってた名残で、なかなか筋肉が落ちなくて。太いし血管も目立つし、気持ち悪いですよね」
…………え?
顔の熱は一気に冷めた。思考が追いつかず、そのままキョトンとしてしまう。
すると、唐木さんは続けた。
「いつも舞園さんに見られているなって、なんとなく気づいていたんです。最初は嬉しかったんですけど、徐々に俺の腕を見ている時、舞園さんの眉間に皺が寄っていることに気づいて。この間自転車を直した時に、やっぱり舞園さんはこの前腕が苦手なんだなと、改めて気づきました」
唐木さんはそう言うと、こちらを見て言葉を続けた。
「他の部分とバランスの取れていない、筋肉質な前腕。気持ち悪いと自分でも思って――」
「その前腕がいいのに」
つい、彼の言葉を遮って飛び出た言葉。
気づいたら、そのまま彼の顔を見て続けていた。
「その血管の浮き出るほど美しい筋肉質な前腕がいいから、私は見ていたんです! 卑下しないでください。誇ってください。唐木さんの前腕は、その筋肉もほとばしる血管も、国宝級に素敵なんですから!」