ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「涼羽さんは僕の婚約者です。だいたい、結婚しろと命じたのは、ほかでもない父さんでしょう。すでに結婚に向けて話は進んでいる。こんな挿げ替えるような真似――」

「黙れ」

有無を言わさぬ叱責に、惺也さんがびくりと体を震わせた。

「長男が優先に決まっているだろう。出来の悪い愚息のくせに、なにを生意気な」

父親には逆らえないのか、押し黙ってしまう惺也さん。

木偶の坊だとか愚息だとか、とても実の父親の言葉とは思えないけれど、こんな横暴な態度がまかり通るのか。まかり通ってしまう――家なのか。

惺也さんが誠実だと知っているからこそ、苛立ちが込み上げてくる。

「お、お言葉ですが、天満殿」

沈黙を打ち破ったのは父だ。ご当主の冷酷な目が父に向く。

「うちの娘はまだ二十二歳で、つい先日、大学を卒業したばかりです。ご長男殿の嫁となるには、その……いささか年が離れすぎでは」

「若ければ若い方がいいに決まっている。その分、たくさん跡取りを産めるのだから」

「……!」

父も私も言葉を失う。あきらめとともに思考がクリアになった。

この人は女性を〝子どもを産む道具〟としか見ていないタイプの人間だ。

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