ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「大丈夫、それが普通の反応だ」

彼が肘を折り曲げる。そこに手をかけて、私たちはホールに足を踏み入れる。

不安から彼の腕をぎゅうっと握りしめてしまい、上から苦笑が聞えてきた。

「怯えているところ悪いが、これからが跡継ぎの仕事、本番だ」

「はい?」

深く問いただす間もなく、彼は近くの老齢の男女に声をかける。

「おくつろぎのところを失礼いたします。ご挨拶させていただいてもよろしいでしょうか」

顔見知りかと思ったが、声のかけ方からして違うようだ。

しかし、舘華興産の名前を出すと、ご夫婦はすぐにピンと来たらしい。

「舘華さんの息子さんでしたか。お父上には若いころから何かとお世話になっておりまして――」

どうやら康惺さんとは面識がなくても、ご当主とは親しいらしい。

軽く世間話をして、次のご夫婦へ。彼らは康惺さんを知っていて、隣に並ぶ私を見て目を丸くした。

「とうとうご結婚ですか。いやあ、お父様もさぞ喜んだでしょう」

「心配をかけましたが、ようやくいい報告ができました」

「慎重に選ばれたかいがありましたね。こんなに美しい方とご縁を結ばれるとは」

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