ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
私は「ありがとうございます」と丁寧に頭を下げる。

なにか気の利いた返しができればいいのだけれど、なんて言葉を返せばいいのか思いつかず、とりあえずお礼を言うくらいしかできない。

彼が「私にはもったいない女性です」とすかさず会話を自分の方に引き寄せて、私をフォローしてくれる。

「あとは私が彼女に呆れられないよう精進するばかりです」

「はは、とんでもない。美男美女とはこのことです。おふたりとも実に華がある」

康惺さんの堂々とした振る舞いは、まさに華がある。

相手を立て、失礼にならない程度のささやかな冗談で場を和ませる。にじみ出る余裕が、彼の品格を雄弁に物語っていた。

……社交について、もっと学んでおくべきだったのかもしれない。

立派すぎる彼の隣にいるのが、今はちょっと恥ずかしい。せめて彼の邪魔をしないようにと、最大限礼儀正しく振る舞う。

近くにいるゲストに挨拶を済ませたあと、彼は少し離れた場所にいるゲストにターゲットを絞ったようだ、私に耳打ちした。

「あれが白川(しらかわ)重工の社長。あっちは資産家の奥沢(おくさわ)家だな。一応声、かけておくか」

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