ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
なんてアクティブなのだろう。私は顔と名前と会話内容を覚えるのに必死で目が回りそうだ。

「康惺さんって、ものすごく社交的だったんですね……」

「なにを言ってる。好きでやってるわけないだろう」

彼が途端にやる気のない声を出した。嬉々として挨拶していた割にはドライな返答が来て驚く。

「わざわざここまで足を運んだんだ。爪痕残さなきゃ、なにしに来たんだって話だろ」

さっきまでの紳士的な態度はどこへやら、はあ、と面倒くさそうに息をついた。

「だから面倒なんだよ、跡継ぎってやつは」

私の腰を不意に抱き寄せて、こめかみに泣き言を吐き捨てる。

そうだよね、と私は考えをあらためる。やらなきゃいけないからやっているだけ。

まだ彼が跡継ぎになると決まったわけではないけれど、なる可能性がある限りはやっておかなければならない。

堂々たる振る舞いも、私をエスコートする紳士な仕草も、ゲストに向ける細やかな気遣いも、自分の役割だから演じているだけ。

……やろうとしてできるっていうのが、充分すごいと思うけれど。

普通はここまで完璧に振る舞うなんて無理だ。

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