ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「へ?」

まさかの肯定で、背筋が凍りついた。

彼がくるりと身を一八〇度回転させて、腕をのせろと言わんばかりに肘を差し出す。

嫌とも言えず成り行きのまま腕に手をかけ、会長に背を向けて歩き出したところで、彼の腕をぐいと引っ張った。

「ま、待って……! 無理ですっ! ダンスなんて踊れません!」

彼の耳もとでまくし立てる。

彼も困っている――かと思いきや、涼しい顔で「なんとかなる」と言い出した。

「タイミングは全部指示する。あんたは言われた通り動いていればいい」

「無茶言わないでください、ステップとか知りませんし」

「足はドレスで隠れるから問題ない。転びさえしなければなんとかなる」

ひえええ、と心の中で悲鳴を上げる。ホールの中央、すでに数組がくるくると舞い踊っているその場に私たちは身を滑り込ませた。

「会長も言っていたが――」

彼が正面に向き直り、私の右手を取る。

「涼羽は綺麗だから、きっと会場で一番の華になる」

そう言って緩やかな笑みを浮かべた。その表情があまりにも甘く穏やかで、緊張が吹き飛ぶ。

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