ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
言われた通りにしていると、ようやく動きになれてきた。

「上手だ」

彼が腕を上に引き、私の体をくるりと回転させる。

その瞬間、周囲から「まあっ」「わあ」と歓声があがった。私のドレスの裾が花のように広がったのだ。

「みんなが涼羽を見てるぞ」

「お願いだから見ないで……!」

「涼羽が一番美しいって褒めてるんだ。素直に喜べ」

彼がくすりと笑みを漏らす。その柔らかい目の中に慈しみを感じて、胸がふわりと温かくなる。

……ダンスのひとつも踊れない私だけど、妻でよかったって思ってくれてる?

私は完璧な彼に相応しい女性をちゃんと演じられているのだろうか。

やがて曲調が軽快なものに変わった。曲の切れ目で踊り方が変わるらしく、周囲の人々は片手を繋いだままステップを踏み始める。

「俺たちはこれで終わりだ。お疲れ様」

そう言って彼は私の手を引いてダンスフロアの端まで導いてくれた。

周囲からパチパチと拍手があがる。これだけたくさんの人たちに注目されていたんだと思うと、なんて大胆なことをしたものだろう。

次にお呼ばれするときは、ダンスを練習しておこう。

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