ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
そういえば、康惺さんは惺也さんからライターをもらったと言っていたっけ。仲は良好なのだろう。

「すまないな。惺也にサロンは少しきつかっただろう」

康惺さんが労りの言葉をかける。〝サロンがきつい〟って、どういう意味なんだろう?

私が不思議そうにしていると、惺也さんが「あそこは喫煙所のようなものなんです」と説明してくれた。

ああ、惺也さんは煙草を吸わないから。

「近代ヨーロッパのサロン文化のなごりらしい。昔のフランス、イギリスあたりは、男は煙草をふかしながら社交が上流階級の嗜みだったそうだ。箕山会長は大の愛煙家だから」

「なるほど……」

この巨大なホールといいサロンといい、西洋の影響を強く受けているのだろう。屋敷の正面にある車寄せのロータリーも、思えばそんな印象だ。

「気を使わせて悪かったな」

「普段なら兄さんがそっちを担当するんだろうけれど。今日はパートナーもいるし、結婚の挨拶も兼ねているから仕方がないよ」

惺也さんの言葉を耳にして今さらながら、ああそうかと思う。

今日の社交は結婚後、初めて妻をお披露目する場でもあったんだ。

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