ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
私たちは披露宴もしていないから、その分あえて大きなパーティーの場を借りて全員に挨拶をしたのだろう。

だからこそ私をしっかりと着飾らせ、みなさんの印象に残るようにダンスまで躍らせた。

彼は行き当たりばったりのように見せかけて、計算し尽くして行動している。

……だったら少しくらい、私に事情を説明してくれてもいいのに。

とはいえ、聞いていたら気負っていたかもしれないけれど。彼もそれを心配しての配慮だろう。

私に負担をかけまいと、すべてひとりで終わらせようとする。それが始まっていることにも気づかせないまま。

そんな彼を素直に尊敬するし頼もしくも感じる。でも――。

『娘さんは絶対に不幸にはしません』――父から伝え聞いたその言葉を思い出す。

『責任感が強い』なんて言われて納得してしまったけれど、今は少し腹立たしい。私のことを、隣を歩く女性ではなく保護対象だと思っている気がして。

……それから、うまく言えないけど……なんだかもやもやするんだよね。

その気持ちが今はうまく言語化できない。

「時間があるなら兄さんもサロンに顔を出すといい。話したそうにしている人もいたよ」
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