ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
康惺さんもその棘を感じ取ったのか苦笑する。だがまだ躊躇っているようで、私の肩を離さない。

場を取り持ってくれたのは丹波さんだ。

「まあ、この選び抜かれたゲストの中に舘華家の嫁に手を出すような愚かな人間はいないだろうし。せっかく気を使ってくれているんだから、弟さんを頼ってもいいんじゃないのか?」

そう言って康惺さんの肩に手を置く。

「大丈夫ですよ、部屋に戻るだけですから。私一人でも問題なく――」

私がそう口を挟むと、「それはだめだ」「そうはいかないよ」「女性ひとりで帰らせるわけにはねえ」と男性三人から口々に制止された。

すぐ隣の建物に移動するだけなのに。気遣いのすぎる紳士たちだ。

「……わかった。惺也、頼まれてくれるか」

まだ少し懸念が残るのか迷うような間を置いてから、康惺さんが言う。

「もちろん。兄さんも楽しんで」

惺也さんは笑顔で快諾する。丹波さんにも「兄をよろしくお願いします」と会釈した。

康惺さんの心配そうな目がこちらに向く。

この人はいつからこんなに過保護になったのだろう? 不思議に思いながらも私は、できるだけ気が軽くなるように明るく笑いかけた。

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