ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~

「……まだ痛みますか?」

ベンチに座る惺也さんにおずおずと尋ねる。

「大丈夫です、痛みは引いてきましたから。どうか涼羽さんも座ってください」

彼の隣に腰を下ろす。私は自責の念から深く息を吐き出した。

ダンス中に惺也さんの足を踏んづけてしまったのだ。ヒールの細い部分で彼の靴の先っぽのあたりを思いっきり。

……絶対痛いよね……。

体重が一点に集中すれば、とんでもない圧力になる。間違いなく痛い。

それでもひくりと頬を引きつらせるだけで耐えきって踊り続けた惺也さんに拍手を送りたい。送ってる場合じゃないけれど。

「本当に本当に、申し訳ありませんでした」

「そんな。頭を上げてください。疲れているところに、無理にダンスをお願いした僕が悪いんです」

ひとり車で来ていた惺也さん。宿泊はせず、今夜のうちに東京に戻るつもりだったそうだが、足を痛めた状態で運転するわけにもいかない。

「今、うちの使用人に車を出してもらいました。一時間程度で着くとのことなので」

「本当に、すみません~……」

平謝り一択だ。どうか骨に異常がありませんように。

< 138 / 257 >

この作品をシェア

pagetop