ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
惺也さんが遠い記憶を思い返すように視線を上げる。その横顔にはあきらめとも悔しさともつかない葛藤がにじんでいた。
「それは歳の差があるからじゃないでしょうか。八つも歳が開いていたら、なんでもできるように見えて当然ですし」
「いえ」
惺也さんが静かに首を横に振る。
トントン、と右の爪先を軽く突いて痛みを確かめたあと、ゆっくりと立ち上がって窓辺に行く。まるで〝顔を見ないでほしい〟と訴えるかのように。
「きっと、そういうことじゃないんだと思います。兄にはあって、俺にはないなにかがある。だから父は僕を認めない。兄が跡継ぎを辞退すると言っても、名乗りを上げるのが僕じゃあ認めてくれない」
『木偶の坊』『出来の悪い愚息』――ご当主がそう口にしたときの苛立ちと悔しさを思い出し、ベンチから立ち上がる。
ご当主は決して惺也さんを認めない。どうしてだろう、なぜあんなにも頑なに惺也さんを否定するのだろう。
「涼羽さん」
彼がこちらに振り向く。ショックを受けている――かと思いきや、その目はなにかを決意するかのように強く、鋭く輝いていた。
「それは歳の差があるからじゃないでしょうか。八つも歳が開いていたら、なんでもできるように見えて当然ですし」
「いえ」
惺也さんが静かに首を横に振る。
トントン、と右の爪先を軽く突いて痛みを確かめたあと、ゆっくりと立ち上がって窓辺に行く。まるで〝顔を見ないでほしい〟と訴えるかのように。
「きっと、そういうことじゃないんだと思います。兄にはあって、俺にはないなにかがある。だから父は僕を認めない。兄が跡継ぎを辞退すると言っても、名乗りを上げるのが僕じゃあ認めてくれない」
『木偶の坊』『出来の悪い愚息』――ご当主がそう口にしたときの苛立ちと悔しさを思い出し、ベンチから立ち上がる。
ご当主は決して惺也さんを認めない。どうしてだろう、なぜあんなにも頑なに惺也さんを否定するのだろう。
「涼羽さん」
彼がこちらに振り向く。ショックを受けている――かと思いきや、その目はなにかを決意するかのように強く、鋭く輝いていた。