ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「……はい」

彼に押されてサンルームを出る。ちらりとうしろを振り返ると、惺也さんが静かな笑みをたたえたままこちらを見つめていた。

誰もいない渡り廊下を歩きながら、彼が「涼羽」と声をかけてくる。

私の方を見ようとしないまま、静かに尋ねてきた。

「俺と結婚させられる前。惺也と、愛し合っていたのか?」

その質問にハッとさせられる。

康惺さんは私と惺也さんが婚約していたことしか知らない。その婚約がただの口約束だったのか、将来を誓い合った恋人同士が交わした大切な約束だったのか、その実情を知らないのだ。

もしかしたら、私と惺也さんの仲を自分が無理やり引き裂いたとでも思っているのかもしれない。

だからずっと複雑な顔をしていたの?

私を惺也さんに預けるときも、私が惺也さんと部屋に戻らずふたりきりでいたときも。

私たちの関係を疑っていた?

「……いえ」

私は静かにかぶりを振る。

「そういう関係ではありませんでした。これまで惺也さんと顔を合わせたのは、あなたと出会ったあの日を合わせて二回だけです」

「そうか」

納得したのかしていないのか。読み取れない口調で短く頷く。

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