ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
どうして家督を継ぎたくないのだろう。せっかく地位も実力も備わっているのだから、やればいいのに。

なにか理由でもあるのだろうか。

マンションのロビーでコンシェルジュに用件を伝えると、すでに話は通っていたようで目的の部屋まで案内された。

上層三階しか止まらないというエレベーター――たぶん部屋の持ち主はいずれも相当なお金持ちだ――に乗り込み、最上階へ。

玄関で出迎えてくれたのは、スラックスのポケットに手を突っ込み、シャツのボタンを二番目まで外してラフに着崩した康惺さんだった。

髪は綺麗に整えた上で無造作に崩したような、手をかけていた名残が見られる。

舘華家の客間で会ったときのような威圧感や、精悍さは感じない。

代わりにどこか掴めない、おいそれと近づけば痛い目を見るような、危うい色気を感じる。

……十六も年が離れている人に色気を感じるだなんて、自分でもちょっと意外。

それもこれも、この男の顔やスタイルが整いすぎているからだろう。

年齢にかかわらず女性を吸い寄せる、たぶん〝危険な男〟とか〝魔性の男〟って呼ばれる類の人種だと思う。

「悪いな、わざわざ足を運んでもらって」

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