ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
それでもわざわざ逸品を用意したのは、賄賂か、はたまたプライドか。気遣いの至らない弟だと思われたくなかったのかもしれない。

正攻法で届かない相手になんとか並び立とうという、あいつなりの処世術。

そんな弟に俺は同情し、甘くなっているのは確かだ。

……頑張っているやつが報われるような世の中の方が、多少はマシだろう?

やはり俺は、惺也に上に立ってほしいと願う。

「私が跡を継げば丸く収まるのかもしれませんが――」

惺也はまだ若い。あと十年経験を積めば、リーダーとしての適性が開花するかもしれない。希望的観測ではあるが。

「どちらが跡を継ぐか決めるのは、もう少し先延ばしにさせてほしいんです」

涼羽を無理やり娶った俺が言えるような立場ではないが。

茂木野社長は「もちろん」と笑って許してくれた。

「涼羽は不幸にならない、そう保証していただけただけでもありがたいと感じています」

――『涼羽さんを不幸にはしません。絶対に』――。

……幸せにすると約束しない俺は、姑息だな。

ここまで来たのだ、腹を括るべきなのはわかっている。

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